くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「リチャード・ジュエル」

「リチャード・ジュエル」

監督はクリント・イーストウッドなのだが、完全に上滑りになっていて、全然物語が掘り下げられていない。本当に実話をもとにしたのだろうかと思うエピソードがちらほらするのはどうなのだろうという出来栄えの作品でした。もちろん、それなりのクオリティはありますが、普通すぎる出来栄えはちょっと期待しすぎたかという感じでした。ただ、演じた役者がどの人を取っても見事でした。それでもったという感じですね。

 

弁護士事務所に勤める主人公リチャード・ジュエルの姿から映画は始まる。持ち前の心配りから、弁護士のワトソンと親しくなるが、間も無くしてリチャードは仕事を辞める。そして大学の警備員になるが、ここで、四角四面な正義感に学長の反感を買いクビになる。そして時は10年近くたちアトランタオリンピックアメリカ中が湧いている。リチャードはセントラルパークで警備の仕事についていた。母ボビと二人暮らしで親孝行なリチャードは、ボビを公園に誘ってやり大好きなアーティストの映像を見せてやっていた。

 

リチャードは、この日腹の具合が悪く、何度もトイレを往復していたが、ふとベンチの下に不審なリュックを発見。同僚にいうも取り合ってくれず、警官に告げて、念のため担当捜査官がやってくる。そんな時、警察に、公園に爆弾を仕掛けたという電話が入る。

 

捜査官が調べると、リュックの中は爆弾で、リチャードらは人々をリュックから遠ざけ始めるが間も無くして爆弾が爆発、大勢が負傷を負う。しかし翌日、爆弾を早期に発見したリチャードは英雄になっていた。

 

ここに地元ジャーナリストで、特ダネを探すキャシーがいた。彼女は色仕掛けでFBI捜査官のトムに近づき、容疑者の一人としてリチャードを挙げていることを聞き出し、スクープで報道する。一転して容疑者となったリチャードは、唯一知る弁護士ワトソンに連絡する。

 

ワトソンは、警察に爆弾犯からの電話の時間にリチャードはリュックのそばにいたことが目撃され、無罪であると確信する。こうしてワトソンとリチャードの物語が展開する。

 

FBIのトムらは、キャシーに情報を漏らしたこともあり、何とかリチャードを犯人にすべく、強硬な捜査を始めるが、ワトソンはリチャードを守るべく必死になる。メディアの攻撃も激しくなり、母のボビも精神的に参ってくる。

 

リチャードとボビは記者会見し、無実を訴える。そして、トムらの尋問に、堂々と答えたリチャードは、FBIを後にする。間も無くして、FBIはリチャードの無実を表明する。そして6年、警官になったリチャードの姿があり、ワトソンが訪ねてきて映画は終わる。

 

とにかく、電話のアリバイをFBIがわからないという稚拙さがおかしいし、キャシーが自分のミスを認めた後、後半完全に姿を消してしまう。リチャードの家に来る友人の存在が説明されていない。等々脚本が実に甘い。そのために肝心の人間ドラマが上滑りになってしまった、かなと思います。期待が大きいだけに落胆が大きかったという感じでした。