くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2009-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「眠狂四郎 円月斬り」

眠狂四郎シリーズをスクリーンで見るのは初めてである。 テレビでは何度か見た覚えがあるけれども、それも子供の頃でほとんど覚えていない。したがって本日は実質の眠狂四郎初体験である映画としては完全な勧善懲悪の娯楽時代劇でした。特に際立った映像もな…

映画感想「白い馬」「赤い風船」「ロフト.」

「白い馬」 カンヌ映画祭グランプリに輝く名作、アルベール・ラモリスの作品をようやく見る機会があって見に行きました。 モノクロの画面に真っ白な馬が走る。湿地帯なのか、ところどころにわだちや川などが見られ、湿地帯特有の木々が茂っています。 その中…

映画感想「炎上」「華岡青洲の妻」「アサルトガールズ」

「炎上」 市川崑監督作品、始めてみたのが学生時代だったように思うから、すでに20年以上たっている。 当時は市川監督は横溝作品を手がけていてその関係であの独特の映像美の世界が好きになったのです。当時の作品は、かなりわかりやすい映像表現だったの…

映画感想「しのび逢い」

「太陽がいっぱい」のルネ・クレマン監督、ジェラール・フィリップ主演のラブコメディ。もともと、好みのジャンルではないのですが、これもまた傑作という紹介でしたので見に行きました。洋画のクラシックをスクリーンで見る機会は少ないので、こういうチャ…

映画感想「ひとり狼」

股旅映画の最高傑作という作品紹介につられて見に行った雷蔵祭りの一本です。紹介どおり、素晴らしい作品でした。 一人の無宿者の後姿でタイトルバックが始まります。そしてタイトルが終わると孫八(名優長門勇)が囲炉裏の端で追分の伊三蔵(市川雷蔵)との…

映画感想「アバター」

素晴らしい映像体験、久しぶりの娯楽エンターテインメントを見ました。本当に楽しかった。しかも最新技術の素晴らしさに拍手したくなりました。今年は3D映画大流行、そして今年最後のトリを飾って登場したのがジェームズ・キャメロン監督が12年の長編映…

映画感想「わが町」

本当に、いい映画を観ました。 織田作之助原作の大阪の物語。監督は名匠川島雄三。 奥行きのある見事な構図で非常に画面が美しい。古い映画も最近のようにたくさん見ると、いい作品と平凡な作品の区別がよくわかります。軽妙でテンポの良いストーリー展開と…

映画感想「大菩薩峠」「大菩薩峠竜神の巻」「大菩薩峠完結篇」

大菩薩峠三部作を見ました。 第一作、第二作竜神の巻は三隅研次監督作品です。 まさに日本時代劇の様式美の世界です。横長のスクリーンを効果的に使用し、調度品の配置や、光の演出でまさに歌舞伎の延長である日本の時代劇が展開します。 大映作品なので東映…

映画感想「十代の性典」「インフォーマント!」

南田洋子追悼番組、先日の「太陽の季節」に続いて、「十代の性典」を見る。 思春期の少女たちの揺れ動く心の状態を微妙な性演出も含めて、かなりストレートに描いていく。 製作された年代は1953年なのですから、当時の世相というか、性に対する意識がか…

映画感想「太陽の季節」

主演は長門浩之、南田洋子であるが、石原裕次郎が端役で出たデビュー作として有名な作品である。 原作は芥川賞受賞作品ですが、映画としての評価はそれほどでもないように思います。1956年という製作年度や時代背景を考えると、かなりショッキングなシーンが…

映画感想「陸軍中野学校」「陸軍中野学校雲一号指令」

日本のスパイ映画の傑作といわれる陸軍中野学校を見る。 もちろん市川雷蔵映画祭の一本であるが、このシリーズは彼の晩年に近いころの作品である。この作品の3年後に彼はこの世を去るが、果たしてその物悲しさが漂っているように見えたのは気のせいでしょう…

映画感想「ジャック・メスリーヌPart1ノワール編 Part2ルー

今公開中の「パブリック・エネミーズ」にあやかってか、宣伝文句に「フランスのパブリック・エネミーズと呼ばれた男」という触れ込みで公開された作品で、なんとPart1、Part2の二部構成、それぞれ独立した作品として二本で公開された映画を見る。「…

映画感想「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」

いやぁ、楽しみました。おもしろかった。見せ場ばっかしで、目を放せませんでした。とにかく、何も考えずに見れる面白さというやつで、しかもストーリーはかなりめちゃくちゃながら、東宝らしいラストまで用意していたから笑ってしまいました。テレビアニメ…

映画感想「パブリック・エネミーズ」

いい映画でした。マイケル・マン監督の映像芸術が満載、堪能した作品でした。 ジョン・デリンジャーに扮したジョニー・デップ、対するFBI捜査官パーヴィスのクリスチャン・ベイルがすばらしい。冒頭から、刑務所をものの見事に脱獄する場面から始まるので…

映画感想「赤と黒 デジタルリマスター版」

1954年の作品がデジタルマスターでここまで蘇えるのだから見事なものですね。ジェラール・フィリップという名優さんも私にとっては完全に過去の俳優さんで、出演作品など今回が初めてです。フランス映画全盛期の文芸大作にして、ここ50年以上もの間リメイク…

映画感想「カールじいさんの空飛ぶ家」

そもそもCGアニメが嫌いな私のなのですが、宣伝のときからストーリーがよさそうだったので見に行ったしだいです。一人の主人公、つまりカールじいさんが子供のころ将来の伴侶と出会い、悲しみ喜びを共に経験しながらやがて妻に先立たれてしまう。二人の愛…

映画感想「バグダッド・カフェ(ニューディレクターズカット)」

こんなに良い映画見逃していたなんて本当にくやしい。 とにかくすごくいい映画でした。胸がじわっと感動する素晴らしい映画でした。とにかく冒頭から度肝を抜かれます。太った女性(主人公ジャスミン)とその夫がなにやら道端で口論している。カメラは極端な…

映画感想「戦場でワルツを」「千年の祈り」

「戦場でワルツを」 アカデミー賞外国語映画賞を「おくりびと」と争ったとされるドキュメンタリータッチのアニメ「戦場でワルツを」を見る。 ドキュメンタリーは苦手分野であるが、リアル映像で描くとあまりにも残酷すぎるということで作者がアニメ表現を借…

映画感想「脳内ニューヨーク」

「マルコヴィッチの穴」のスパイク・ジョーンズが製作に回り、名脚本家チャーリー・カウフマンが初監督に回った作品である。というより、宣伝フィルムを見たときから興味を引かれていた作品でした。現在の生活に凡々たる物を感じ、しかも物事があまりよいほ…

映画感想「トワイライトサーガ/ニュームーン」

第一作「トワイライト〜初恋〜」の続編、つまり四部作の第二部である。 まぁ惰性で見に行ったというのもある。第一作はそれなりに楽しんだのですが、はまるほどではない物語なので。第一作に比べると、かなりストーリー的には魅力が落ちていました。すでに吸…

映画感想「ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式」

マペットの第一人者フランク・オズ監督作品ということでちょっと気になっていたのですが、時間がなくて半分あきらめていたコメディ作品を見てきました。 フランク・オズ監督作品といえば「リトルショップオブホラーズ」以来となります。今回の作品、あの「リ…

映画感想「ブラック会社に勤めているんだが・・」「曲がれ!スプーン

「ブラック会社に勤めているんだが、僕はもう限界かもしれない」 小池徹平は俳優としてはあまり好きではないのですが、「キサラギ」の佐藤祐市監督作品なので期待して見に行きました。実話を基にしているといいますが、まぁ結局⒉チャンネルのスレを基にして…

映画感想「2012」

「デイ・アフター・トウモロー」を見たときに、少しは人間ドラマも描けるようになったかと見直していたローランド・エメリッヒ監督であるが、今回の作品はまったくダメ。いったいなんでこの程度の監督に莫大な映画予算が出るのか不思議でならない。確かに特…

映画感想「イングロリアス・バスターズ」

久しぶりのクエンティン・タランティーノ作品である。 お決まりのバイオレンスシーンはもちろんであるが、今回は特にテクニカルなカメラワークが秀逸であった。冒頭、マカロニウエスタン調のオープニング。とある田舎の一軒家で男が薪を割っている。そばに女…

映画感想「風が強く吹いている」

掘り出し物でした。当初、見に行く予定ではなかったのですが、昨日会った映画友達に薦められて急きょ見にいたのです。映画が始まると、いきなり夕陽へ走るランナーのシーン、そしてとある食堂で学生らしき二人ハイジ(小出恵介)とカケル(林遺都)が食事を…

映画感想「地下鉄のザジ」「ボヴァリー夫人」

「地下鉄のザジ」 ルイ・マル監督が1960年に描いたコメディ映画である。ルイ・マル監督といえば「死刑台のエレベーター」がまず上げられるが、あの独特の雰囲気のフィルムノワールとは一転した完全にシュールなドタバタ映画でした。コマ落としをはじめと…

映画感想「なくもんか」

良かった。二人の天才の才能にうなってしまった作品でした。 1人は宮籐官九郎、もう1人は阿部サダヲです。宮籐官九郎さんはもともときらいではなかったのですが、それはあの独特の台詞の応酬、、ドタバタギャグの連発、駄洒落、ぼけつっこみのバイタリティあ…

映画感想「クリスマス・キャロル」

ロバート・ゼメギス監督がパフォーマンスキャプチャーと呼ばれるコンピューター処理技術を使って描いたいわばCGアニメに近い作品である。3Dバージョンも上映されているのですが、ジム・キャリーが精霊とスクルージ役を7役こなしているというのも売り物…

映画感想「笑う警官」

とにかく、プロの一流の俳優さんを使って、プロのスタッフを使って作った素人映画という印象でした。 せめて脚本に一流の人を起用すべきだったと思います。脚本も監督も角川春樹が担当したのは作品として完成度を上げるのには無理があったでしょう。ただ、私…

映画感想「ゼロの焦点」

46年ぶりのリメイク作品である。 かつて橋本忍、山田洋次脚本、野村芳太郎による映画化されたのは1961年。まさに原作の時代背景がまだ残っていた時代に作られた作品であった。したがって、観客もそれなりに物語の根底の部分は予備知識としてあったのである。…