くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い」

イタリアの巨匠カルロス・サウラ監督作品。 全編をセット撮影するという演出法で、カメラにヴィットリオ・ストラーロを迎えた意欲作である。出だし、ヴェネッチアの流れに巨大な像が流れてくる。ドン・ジョヴァンニの舞台で使うセットの像。夜の町並みがブル…

映画感想「プレシャス」

数々の賞を引っさげて公開の「プレシャス」 ハーレムのどん底で暮らす黒人の16歳の少女をオーバーラップやフラッシュバック、あるいは幻想的な妄想シーンを交えてテクニカルな映像と、時にホームビデオのようなカメラでじっと捕らえて見せてくれるのはリー…

映画感想「ウルフマン」

1941年、ロン・チャニィJrが主演したユニバーサル映画の古典「狼男」のリメイク版である。ジョー・ジョンストン監督のスタイリッシュな映像、スピーディな画面変換、みるみる通り過ぎていく時間の演出。これでもかと見せてくるゴシックホラー調の画面作…

映画感想「月に囚われた男」「忍びの者」

「月に囚われた男」 デビッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズが監督をし、様々な賞を受賞した話題作、しかも宣伝フィルムの頃からなかなかおもしろそうな内容だったので、楽しみにして見に行きました。タイトルバックからして、様々な機材や壁などに描い…

映画感想「剣」「タイタンの戦い」

「剣」 三島由紀夫原作三隅研次監督作品である。 スタイリッシュなタイトルバックから映画は始まる。右にKENの文字左に剣の筆文字。そして画面は目のクローズアップ、そして太陽。一気に緊張感が走りこのままエンディングまでひと時もこの緊張感が緩むこ…

映画感想「アパートの鍵貸します」

午前10時の映画祭でみてきました。20数年前にみたきりですが、かなり覚えてましたね。 I・A・L・ダイアモンドとビリー・ワイルダーの脚本が見事なもので、軽妙なせりふの応酬はもちろんですが、それとなく登場する小道具がちゃんと物語に生きてきて、…

映画感想「女と三悪人」「眠狂四郎女妖剣」

「女と三悪人」 井上梅次監督が描く娯楽時代劇である。 画面に所狭しと人があふれる群衆シーンから幕を開けます。物語は幕末庶民の暮らしも米を買い占める悪徳商人に苦しめられている。そんな中一人の女役者喜久之助(山本富士子)に想いを寄せる三人の男の…

映画感想「新選組始末記」「お嬢吉三」

「新選組始末記」 幕末の京都を舞台に新選組の姿を描いた三隅研次監督の娯楽時代劇である。 原作は子母沢寛で、勧善懲悪の展開ながら武士の時代の終焉と町民の代替する姿がいたる所のせりふやショットに見え隠れする。物語は新選組に入らんとする決意をした武…

映画感想「陸軍中野学校 竜三号指令」

陸軍中野学校シリーズの第三作目である。 さすがにこのあたりになるとかなり脚本も雑になり、ストーリー展開もおおざっぱになっている。映画産業がまだまだそれなりであった時代のシリーズものの弱さがそのままでたという作品でした。第一作、第二作となかな…

映画感想「アリス・イン・ワンダーランド」

3D映画流行の折、「アバター」同様の期待の一本がこのティム・バートン版「アリス・イン・ワンダーランド」夢とファンタジーの世界はまさにティム・バートンならではのイマジネーションの世界で本当に楽しめました。 出だしのタイトルバックからして一気に…

映画感想「フォロー・ミー」「破戒」

「フォロー・ミー」 はじめてみたのは何年前だろう?とにかく私のラブストーリーベストテンに入る大好きな映画、今回午前10時の映画祭で初リバイバル? いさんで見に行きました。やっぱりいいね、あの軽妙なせりふの応酬、洒落た画面転換がかもし出すなん…

映画感想「モリエール 恋こそ喜劇」

たわいのない映画である。これといって取り上げるほどの作品ではない。物語は喜劇の天才モリエールには空白の数ヶ月といわれる消息不明の時期があるらしい。果たしてその時期に何があったのかをフィクション仕立てにして作り上げた作品。 物語の終盤はかなり…

映画感想「獄(ひとや)に咲く花」「半分の月がのぼる空」

テレビの必殺シリーズで、見事な光と影の映像美の世界を作り上げた東映京都撮影所のカメラマン石原興が監督をした時代劇である。とにかく、うつくしい。 隅々までこだわった見事な画面作り。水や雪、花、木々、枯葉などを効果的に描写し、作り上げられた映像…

映画感想「だれのものでもないチェレ」「ウィニングチケット -遥かな

「だれのもでもないチェレ」 約30年前のハンガリー映画の傑作である。今回ニュープリントリバイバルということで出かけた。まるで叙情詩のような美しい画面から物語が始まる。広い広い草原の中夕日が赤い。一人の少女(最初少年と思った)が真っ裸で走って…

映画感想「息もできない」

韓国でセンセージョンを巻き起こし、名だたるマイナーな映画祭で絶賛、受賞を果たした作品を見てきた。 なるほど、話題になるだけのことはある。バイタリティあふれる荒削りな映像演出はまさにデビュー作らしい若々しさが感じられ、映画に対する情熱の汗がこ…

映画感想「シャッターアイランド」「第9地区」

マーティン・スコセッシの映像ミステリー「シャッターアイランド」をみる。 宣伝フィルムなどから、この謎が解けますか?的な作品ということだったので、出だしから、しっかりと画面に釘付けでみた。 さすがに、映像派マーティン・スコセッシ監督、独特のカ…

映画感想「簪」「陸軍」

「簪」 清水宏監督1941年製作とあるからまさに一触即発の時期である。物語はある温泉で夏休みを過ごす人々、その中の一人納村(笠智衆)は温泉で簪を踏みつけけがをしてしまう。その簪の落とし主恵美(田中絹代)がお詫びにきて繰り広げるいわば群像劇で…

映画感想「流転の王妃」「まごころ」

「流転の王妃」 女優田中絹代が監督を務めた作品で、満州国の皇帝の弟の妃となって嫁いだ竜子の波乱の半生を描いた人間ドラマである。第二次大戦前後の暗雲立ちこめる歴史が背景になるために自然と物語は重苦しくなるが、京マチ子の圧倒的な存在感が物語を牽…

映画感想「ウッディ・アレン 夢と犯罪」「やさしい嘘と贈り物」

「ウッディ・アレン 夢と犯罪」 平凡な兄弟がふとしたことから墜ちていく姿を描いた物語である。 些細なきっかけから始まり、夢をつかんだと思われた二人が抜けられない現実に打ちひしがれていくくだりをウッディ・アレンはクールな画面で見つめていく。ギャ…

映画感想「楢山節考」「おかあさん」

木下恵介監督版の「楢山節考」を久しぶりにみた。 今村昌平版よりやはり格段にすばらしいできばえである。日本の様式美を徹底的に追及し、歌舞伎の場面転換の手法やオールセット室内撮影による光の演出にこだわり、舞台をみているかのように思わせながら、映…

映画感想「サンダカン八番娼館 望郷」「銀座化粧」

「サンダカン八番娼館 望郷」 初めてみたのはすでに30年近く前である。当時は良い映画だという評判だけでみたように思うし、田中絹代が住まいするあばら屋の場面のみを覚えている程度の印象であった。 しかし、今日久しぶりにみて、そして泣いてしまいまし…

映画感想「ソラニン」

もっとつまらない映画だと思っていたし、期待もしてなかったけれど、大好きな宮崎あおいさんがでているので見に行きました。なんと、この映画意外になかなかいい映画でした。 時間を前後させながら物語を進めていくのですが、なんといっても久しぶりに(とい…

映画感想「おぼろ駕篭」「王将一代」

田中絹代特集で伊藤大輔監督作品二本をみる。 「おぼろ駕篭」 物語はたわいのないものである。大奥での権力争いの結果、殺人事件が起こり、それを捜査するやたら強いものぐさ坊主を主人公に、周辺の人物を描写しながら展開する娯楽時代劇です。縦横無尽に繰…