2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧
「禁じられた遊び」 何十年ぶりかでスクリーンでみなおしたけれど、やはり今回も、ルネ・クレマンの卓越した演出力に改めて背筋が寒くなった。 もちろん、物語は悲しいし、主演のポレットを演じたブリジット・フォッセーは本当に愛くるしいしかわいい。しか…
「美徳のよろめき」 三島由紀夫の原作を新藤兼人が脚本、中平康が監督をしたいわば不倫者の物語である。90分あまりの作品であるが、主人公がかなわぬ不倫によろめく姿をのらりくらりと描いていくストーリー展開は、そのまま作品のリズムののらりくらりとし…
「ビルマの竪琴」 市川崑監督の旧作の方の「ビルマの竪琴」をみてきました。 噂通りの名作。なんといっても人物の配置が本当に美しく、スタンダード画面にも関わらずパンフォーカスを多用した奥行きの深い画面の構図が登場人物の心の表情とその周辺の人物の…
近年みた日本のアクション映画の中で際だった傑作と呼べる一本だと思います。とにかくおもしろかった。しかも、映画というものをちゃんと知ったスタッフがスクリーンに映し出される娯楽として完成させたというムードがプンプンするすばらしい一本でした。夜…
なるほど、これは名作である。ラストシーンに向かってまるで外堀を埋めていくようにプロットが組み立てられている。その脚本のすばらしさはもちろんであるが、これは明らかにウィリアム・ワイラー監督の抜群の演出力のたまものである。3時間足らずという超…
映画が始まってからエンドタイトルが終わるまで、とにかく音楽と歌、そしてアニメが抜群に楽しい。古き懐かしいマカロニウエスタンの世界が大人のCGアニメになって帰ってきたという感じの軽快な一本でした。エモーションキャプチャーといって俳優が直に演…
「やがて来たる者へ」 久しぶりに純粋に魂を揺さぶられる傑作に出会いました。詩的ともいえるファンタジックなまでの画面、胸に響くように伝わってくる主人公の少女マルティーナのふるえるような不安、じわりと迫って寒気を覚えてくるような戦争の恐怖。なに…
内容が内容なので、素直にわいわいと楽しめる作品かとちょっと期待して行ったのですが、思っていたほどにわくわくどきどきのアクション映画に仕上がっていませんでした。ストーリーとカメラ演出にスピード感がないのです。それが、このちょっと楽しめる発想…
レニー・ハーリン監督といえばアクション映画の演出でその手腕を発揮するが、今回のこの作品はきわめて政治色の強いかなりシリアスなドラマである。しかし、そんな社会ドラマにレニー・ハーリンの卓越したエンターテインメントの才能がコラボレートし、しっ…
「たまたま」 蒼井優が水に落ちて宛先がにじんで行き先のわからなくなった一通の手紙になって名も知らない町をさまよい歩くファンタジーである。たまたまというのは、つまり偶然という意味のたまたまである。水ににじんだインクの模様をバックにタイトルが始…
「木を植えた男」 カナダのアニメーション作家フレデリック・バックのアカデミー短編アニメーション賞受賞作品を見ました。 木枯らしが吹いているような荒涼たる大地を歩く主人公”私”がある日一人の羊飼いにで会う。一晩を泊めてもらい翌日、その羊飼いが向…
「家族X」 昨年「川の底からこんにちは」を制作し話題を呼んだぴあフィルムフェスティバル(PFF)スカラシップ作品ということなので見に行きました。監督は吉田光希。 ドキュメンタリータッチで、ある平凡な家族の主婦の日常をとらえていく物語。これとい…
黒いバックにタイトル、背後に車の行き交う音が聞こえているが次第に激しくなって急ブレーキの音とともにタイトルが終わりフロントガラスの割れるシーン、女性が飛び出すシーン、腕時計がはずれて飛び散るシーンが続いて物語が始まる。ショッキングなショッ…
ご存知のように、この作品の原作はカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞した小林正樹監督の名作「切腹」と同じ滝口康彦の『異聞浪人記』を基にしている。しかも「切腹」の脚色は名脚本家橋本忍、さらに撮影は名匠宮島義男である。 この日本映画史に残る傑作に「…
北極の氷の下で発見された巨大な落下物。その中で冷凍になった星の盾をもつ男が発見される。そして、あわてて上司への報告。 次の瞬間、時は1942年、第二次大戦下のアメリカに移る。現代から一気に過去に戻り、これまでのいきさつを説明する形ではじまる…
「天国の日々」 ネストール・アルメンドロスのカメラが抜群に美しいのであるが、全編一つの映像芸術のように整った画面の構図と静かに動く美学が徹底された美しさに満ちているのがなんといってもこの作品の傑作たるゆえんであろうと思います。広大に広がる小…
50歳を迎えた主人公のマリアのお誕生パーティから映画が幕を開けます。 バースデイケーキを作る手元、友人を招いてのホームパーティなのでたくさんの料理を作る手が写されますが、実は作っているのは主人公のマリア本人。自分のパーティに自分で支度をする…
「荒野の七人」 今更いうまでもなく黒澤明監督の名作「七人の侍」の西部劇版リメイク作品である。しかし、徹底的に娯楽映画としてまとめあげ、さらにエルマー・バーンスタインのテーマ曲が大ヒットしたために、別の意味での映画史に残る名作となりました。今…
「リミットレス」 デジタル映像を駆使してめまぐるしいほどの細かい画面づくりでどんどんストーリーを運んでいく。そのハイスピードな映像に酔ってしまうほどの陶酔感があるが、いったんなれてしまうと非常に単調な繰り返しである。しかし、ストーリー展開が…
人間の心理ドラマを描かせるとすばらしい描写を生み出す私の大好きな作家東野圭吾さん原作、そして大好きな女優さんの一人である深田恭子さん主演の作品。映画としての期待度よりもその好みから見に行った映画でしたが、なんともスタイリッシュな心地よいラ…
「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」 1968年に製作されたSF映画「猿の惑星」はそのショッキングなラストシーンにより名作としていまだに語り継がれ、この第一作を元にしたシリーズはその輪廻のような物語で未だに伝説となっている。今回の作品はオリジ…
「ゴーストライター」 開巻早々、一隻のフェリーが港に入ってくる。そして岸壁に着けられたフェリーから一台、また一台と車が降りてくるがBMWのワゴン一台が取り残される。どうやら運転手が見あたらないらしい。場面が変わると浜辺に打ち上げられた死体の…
本来、ドキュメント映画というのは見ない主義なのですが、この作品は、マイナー作品であるにも関わらずTOHOのシネコンにかかるという異例の公開方法であり、庵野秀明がプロデュースしたという話題作でもあるので見に行きました。物語、というか撮られて…
今まで見た作品で究極の映像芸術と呼べる一本がこの作品です。そして、素直にその完成度の高さに涙が止まらなかったのもこの映画なのです。30年ぶりくらいに見なおした「ベニスに死す」は初めてふれたとき同様に新鮮にそのすばらしさに涙してしまいました…
「荒野の用心棒」 エンニオ・モリコーネのあの口笛が聞こえてくる。真っ赤なバックに馬の疾走するアニメーション、次々とタイトルが流れ口笛とあの名曲がスクリーンからあふれてくると、わくわくする。ご存じマカロニウエスタンの代表作のオープニング。この…
こういう映画を見ると、いかに自分が知っている世界は小さなものかと感じてしまいます。この作品はエチオピア映画です。しかもエチオピア映画が日本で公開されたのが初めてというのですから驚きますね。しかもこのハイレ・ゲリマ監督というのはアフリカの映…