くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2020-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」「ビルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」「アイ・キャン・オンリー・イマジン 明日へつなぐ歌」

「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」 スタジオライカのストップモーションアニメ。ゴールデングローブ賞受賞作品。の割には普通のアニメーションでした。CGかと思うほどスムーズに動くストップモーションアニメの凄さはあるのですが物語がシンプル…

映画感想「少女ムシェット」「バルタザールどこへ行く」「ストックホルム・ケース」

「少女ムシェット」 四十年ぶりの再見。その時もあまり印象が残ってなかったが、傑作というのはこういう、時に一回でわからないが部分があるものだと改めて思う。たしかに徹底的に計算され尽くされた演出がとにかくしんどい。前半の細かいカットと最小限のセ…

映画感想「おらおらでひとりいぐも」「461個のおべんとう」「ホテルローヤル」

「おらおらでひとりいぐも」 一人ぼっちになった老婦人の毎日を淡々と描くファンタジーという感じで、面白いと言えば面白いが、後向いたようにしか見えない瞬間がなんとも鬱陶しいと言えなくもない。どこかじめっとしたものが見え隠れしなければ、あっさりド…

映画感想「恐怖に襲われた街」「オー!」

「恐怖に襲われた街」 えっ?爆弾はどうなったの?という大ボケのラストシーンに大笑いしてしまった。殆どが主人公ルテリエが犯人を追いかけていくシーンで、そのどれもがスタントなしでやったというアクションシーンの連続で、それだけで魅せる作品。もちろ…

映画感想「大盗賊」「危険を買う男」

「大盗賊」 普通の活劇で、今や廃れてしまったジャンルの一本。実在の義賊カルトゥーシュの自伝的な映画。監督はフィリップ・ドゥ・ブロカ。 カルトゥーシュが、次々とスリを繰り返していく鮮やかなシーンから映画が始まる。そして盗んだものを元締めのマリ…

映画感想「十二単衣を着た悪魔」「ジオラマボーイ・パノラマガール」

「十二単衣を着た悪魔」 低予算のどうしようもない映画かと思って見ていたのですが、弘徽殿の女御を演じた三吉彩花が中心になるにつれて映画の足元がしっかりして、最後まで物語を引っ張ってくれました。ラストは、それなりにじんわりと胸が熱くなりました。…

映画感想「大頭脳」「プロフェッショナル」

「大頭脳」 これは面白かった。馬鹿馬鹿しいコメディなのだが、やることのスケールがでかくて、呆れているうちにどんどん引き込まれていく。傑作でした。監督はジェラール・ウーリー。 伝説の怪盗ブレインが街を歩いている。あまりに頭がいいので顔が少し傾…

映画感想「愛しの母国」「星くず兄弟の伝説」「星くず兄弟の新たな伝説」

「愛しの母国」 中国建国七十年を記念してチェン・カイコーが総監督をし他に六人の監督を起用して製作されたオムニバス作品。国威高揚、プロパガンダ的な作品なのですが、歴史的な七つのエピソードにまつわる物語を、庶民のエピソードの中に捉え、なかなか面…

映画感想「ザ・ハント」「罪の声」「きみの瞳が問いかけている」

「ザ・ハント」 少々グロいけれどかなり面白い。テンポのいい演出と抜群の脚本の組み立ての妙味、そしてこの手のB級ホラーアクションらしいいかにもな知的なセンス。この融合にすっかり引き込まれた。面白かった。監督はクレイグ・ゾベル。 一人の女性が背中…

映画感想「レディ・マクベス」「ウルフウォーカー」

「レディ・マクベス」 映画にキレがない。脇役が弱いために主役が浮かび上がってこない仕上がり。面白いはずなのだが今ひとつになるのが残念な映画でした。監督はウィリアム・オルドロイド。 主人公キャサリンと夫との結婚式から初夜のシーンになって映画は…

映画感想「カサノバ」「サテリコン」

「カサノバ」 40年ぶりの再見、豪華絢爛たるSEX絵巻だが、これほどすごい映画だったかと改めて、感嘆してしまいました。セットの物凄さもですが、次はどんなシーンが出てくるのかとワクワクするほどの絵巻物の世界に引き込まれる。ただ、若干長いですね。監…

映画感想「パピチャ 未来へのランウェイ」

「パピチャ 未来へのランウェイ」 バストショット以上のカメラアングルと時折挿入する手持ちカメラの映像が全体を緊張感あふれる仕上がりにした映画、こういうアルジェリアの現実をストレートに描かれると、やはりアメリカ映画にない重苦しさを感じてしまい…

映画感想「おもかげ」「ホテルニュームーン」「アイヌモシリ」

「おもかげ」 何とも不純な映画、主人公に全然感情移入していかない上に、鬱陶しくさえなってしまった。ただ、ゆっくりと対象に迫っていく長回しのカメラワークがなかなかの作品で、カメラが物語を語るという演出は見応えありました。さらに音の演出も特に前…

映画感想「ラブストーリー」「アウェイデイズ」

「ラブストーリー」 16年ぶりの再見、大好きな韓国映画の一本です。決して映画として出来の良いものではないのですが、二代に渡るピュアなラブストーリーの展開にのめり込んでしまうのです。音楽もいいし、やはりラストは涙ぐんでしまいました。監督はクァク…

「ザ・ライフルマン」「朝が来る」

「ザ・ライフルマン」 ラトビアの近代史の汚点の一つを描いた作品ということで、勉強していったが、やはりわかりづらい部分もあった。反戦ではなく一人の人間のドラマであり、歴史の一ページという内容で、描かれる表面部分の奥にあるものを感じ取りきれなか…

映画感想「キーパー ある兵士の奇跡」

「キーパー ある兵士の奇跡」 可もなく不可もなしという良質の作品でした。もうちょっと思い切ったキレのある毒があっても良かった気がしますが、その辺りを抑えたために映画にハリがなくなった感じですね。でも良い映画でした。監督はマルクス・H・ローゼン…

映画感想「薬の神じゃない!」「靴ひも」

「薬の神じゃない!」 中国のプロパガンダ映画ですが、娯楽映画としては相当によくできていました。物語の構成、キャラクターの配置、ストーリー展開、ともにオーソドックスながら、素直に胸が熱くなって涙が溢れてしまいました。良かった。監督はウェン・ム…

映画感想「本気のしるし 劇場版」

「本気のしるし 劇場版」 連続ドラマの再編集らしいストーリー展開とキャラクター設定、しかも鬱陶しい女とこれまた鬱陶しい男に、ぐだぐだした展開に、特に前半はスクリーンにものを投げようかと思った。後半、少しほぐれてきた一方で平凡な展開に変わって…

映画感想「空に住む」「ストレイ・ドッグ」

「空に住む」 これはいい映画でした。青山真治監督7年ぶりの新作でしたが、とっても素敵で不思議な感じで心に染み入ってくる作品でした。 主人公直美がタワーマンションにやってくるところから映画は始まる。両親を交通事故で亡くし、父の弟雅博の投資用のタ…

映画感想「溶岩の家」

「溶岩の家」 どうも、今回も物語がよく把握できなかった。それに、今回見た数本ほど画面の構図も優れていないようにも思える。監督はペドロ・コスタ。 ある工事現場、一人の男レオンが落ちたという声から映画は始まる。飛行機に乗せられて彼の故郷だろうか…

映画感想「ヴィタリナ」「血」

「ヴィタリナ」 暗い、なんでこの監督の作品は暗いのだ。しかも物語があってないような地味なストーリーなので、しんどい。たしかに画面作りはしっかりしているし、構図も素晴らしい、カットのつなぎも見事、さらに超広角レンズを利用した遠近感の作りも素晴…

映画感想「新しい街 ヴィル・ヌーヴ」「ひとくず」

「新しい街 ヴィル・ヌーヴ」 全編墨絵の詩的なアニメーション。淡々と語られる物語の面白さではなく絵を楽しむという感じの作品なので、鑑賞する映画という感じでした。監督はフェリックス・デュフール=ラペリエール。 カナダケベックの独立運動は過去に二…

映画感想「骨」「博士と狂人」

「骨」 しんどかった。暗い画面と、人間関係の描写や台詞がない上に、男か女か区別がつかない役者の容貌に、前半は全然物語が掴めなたった。終盤でなんとなく見えてきたものの、よくわからないままに終わってしまった。監督はペドロ・コスタ。 一人の女?が…

映画感想「みをつくし料理帖」「スパイの妻劇場版」

「みをつくし料理帖」 原作の大ファンなので、相当に不安でした。文庫本全十巻の中盤までの物語のエピソードを丁寧に追って行く作りで、原作を知るものには登場人物の関係や背景がわかっているので、読んだ時の感動に浸ることができました。映画としては普通…

映画感想「鬼ガール!!」「小説の神様 君としか描けない物語」

「鬼ガール!!」 なんともだるい映画で、早く終われ早く終われと前半ひたすら願っているのですが、クライマックスの舞台と映画のシーンになると、それだけがやたら面白い。どうせならもっとコンパクトに作れば良かったと思える。ただ、ドローンを振り回した…

映画感想「男はつらいよ 知床慕情」「シカゴ7裁判」

「男はつらいよ 知床慕情」 これは素直にいい映画でした。寅さんが脇によった作品はいいものが多いです。全盛期の竹下景子が抜群に可愛らしいし、老年の三船敏郎の存在感もしっかり出ていて映画が締まっていた感じです。監督は山田洋次。 とらやの主人が入院…

映画感想「人間の運命」

「人間の運命」 これは良かった。カメラアングルが抜群に素晴らしいし、ストーリーの展開、構成もテンポよく見せてくれる。しかもソ連映画らしい壮大なシーンもあちこちに見られるし、文句なしのモスクワ映画祭グランプリ作品でした。監督はセルゲイ・ボンダ…

映画感想「異端の鳥」「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」

「異端の鳥」 映像のクオリティはなかなかなのですが、お話が暗い上に長過ぎて後半しんどかった。特に前半のバイタリティのある演出が、後半ちょっと息切れが見えたような絵になってくるのも少し気になる。原作があるので、こういう展開なのかもしれないが、…

映画感想「セルギー神父」「ワーテルロー」「祖国のために」

「セルギー神父」 一人の人間の、自分に課した罪深さをひたすら追い求める物語で、淡々と流れる中に潜む力強さが魅力の作品でした。監督はイーゴリー・タランキン。 一人の老神父が船着場で神の存在の問いかけ問答をしている。カットが変わり、ロシア皇帝が…

映画感想「星の子」「望み」「82年生まれ、キム・ジヨン」

「星の子」 監督が大森立嗣であり原田知世ほか脇役もしっかりしてるので見にきたけれど、なんともしょぼい作品だった。芦田愛菜は子役時代はそれなりに認めていたが、大人になってからは完全に花がなくなった上に存在感が引き立たず、作品を牽引できていない…