2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧
「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」 シュールな不条理劇という出立ちで淡々と語られていくが、全てが反戦メッセージという形の作品。抑揚のないセリフの応酬と型にはまった動き、無意味なのか意味があるのかわからないような冷めた言葉遊びの世界。そして、ラス…
「テスラ エジソンが恐れた天才」 テスラの偉業を描くでもなく、ライバルエジソンとの攻防を描くでもなく、ただ彼の頭の中にある理想の世界を目指す姿を映像として作り上げていくという演出は、ある意味面白いし、わざと絵の背景を使ったり舞台的な装置を設…
「旅立つ息子へ」ウリ、アハロン、タマラ 小品ですが、じわっと胸に迫ってくるなんとも言えない感動に包まれてしまいました。ちょっとした佳作という雰囲気の良い映画でした。監督はニル・ベルグマン。 自閉症の息子ウリとその父アハロンが列車を降りて自転…
「騙し絵の牙」 色々と今の自分を考えさせてくれる展開、それと、細かく張られた伏線も面白く、ラストまで全く退屈しない映画でした。ただ、監督は吉田大八ですが、彼にしては程よくまとまりすぎた仕上がりだった気がしなくもないです。 新人編集者の高野が…
「ノマドランド」 とっても良質の映画です。広角レンズを多用した広がりのある画面を中心に、主人公ファーンの心のドラマを映像だけで見せていく手腕は見事です。これというドラマはないのに、さりげなく登場人物たちが振り返る過去を見ていると、人生の物語…
「まともじゃないのは君も一緒」 コメディとシリアスのバランスが抜群によくできたとっても楽しいラブストーリーでした。成田凌と清原果耶の機関銃トークも最高で、どこか甘酸っぱい青春が垣間見られる上に、全体が透き通っているのが良い。ちょっとした佳作…
「宴」 重厚な物語展開と圧倒的な映像世界の中で描かれるあまりにも可憐すぎる悲恋物語。古き良き日本映画の真骨頂を垣間見られる一本で、本当に見ごたえがあった。監督は五所平之助。 雪が深々と降る中、塀のこちらから家屋を見下ろすカメラ、そして室内に…
「クィーンズ・オブ・フィールド」 これは楽しい映画だった。たわいのない作品だけど、全編ハートフルコメディ満載、登場人物の背景をさりげなく挿入して、くどくどしない上に、サッカーシーンもちょうど良いバランスで配置した脚本が楽しいし、心が狭いのは…
「春日和」 こういう人生の機微を描いたドラマは今では過去のものになった感じですが、行間を読むような物語というのは、この歳になると胸に沁みてきます。作品としては普通の出来栄えですが、見てよかったです。監督は大庭秀雄。 おもちゃ会社に勤める丸井…
「ブレイブ 群青戦記」 全く期待していなかったが、これがめちゃくちゃに良かった。物語の構成が実に上手いしスピーディ。脇役に主役級の役者を配して、主役以外をほとんど無名の役者を配したために、全体が引き締まりリアリティが出た。さらに、適当な殺陣…
「アウトポスト」 2009年アフガニスタンのキーティング前哨基地で起こった悲劇的な戦闘の実話を元に描いた戦争アクションで、実話なので面白いという表現をして良いものか迷うけれど、クライマックスの延々と描かれる戦闘シーンは相当に迫力もあるし面白い。…
「バッファロー’66」 クソみたいな主人公のどうしようもない映画かと物語を追っていくのですが、レイラを演じたクリスティーナ・リッチがとにかくキュートでかわいいので、なんとか最後まで見ることができました。監督はギャスパー・ノエ。この人の感性とは…
「同棲時代 今日子と次郎」 昭和色満載の演出と映像、キャラクター設定がとってもノスタルジック。それでいて映画全体はしっかり構成されているから大したものです。由美かおるがこんなに可愛らしくてチャーミングだったことに今更気がつきました。今なら大…
「DAU.ナターシャ」 解説によれば、衣装4万着。一万二千平米のセット、主要キャスト四百人、エキストラ一万人、撮影期間四十ヶ月、十五年の歳月をかけたとあるが、実際映像の中で見るには数人の主要キャストと食堂と研究施設、尋問室くらいのセットなのだが…
「ワン・モア・ライフ!」 小品ですが、イタリア映画らしいドライな笑いと、さりげなく埋め込んだブラックユーモアがちょと面白い作品。単純な御涙頂戴的な凡々とした作りじゃないのがとっても魅力的な作品でした。監督はダニエレ・ルケッティ。 港のクレー…
「花の咲く家」 可もなく不可もなしの卒のない作品で、物語全体がぼやけてしまって結局なんの話だろうと思えなくもない映画ですが、これはこれで映画を観た感満載の一本だったかと思います。監督は番匠義彰。 外科医の主人公木津隆三がバリ島へ向かう飛行機…
「あの橋の畔で」(完結篇) いよいよ最終章、この頃のお決まりか、病による悲劇的な物語で幕を閉じるが、いかにもメロドラマというやっつけ演出と脚本が実にうまくて、ある意味、これこそこの映画の見どころではないいかとさえ思ってしまう。監督は野村芳太郎…
「あの橋の畔で」(第一部 第二部 第三部) 「君の名は」同様のすれ違いメロドラマで、展開はあれよあれよと進むが脚本に参加した山田洋次のさりげないユーモアが物語を引き締めるので、見ていて楽しい。監督は野村芳太郎。 学生時代からの恋人光晴と葉子のラ…
「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」 ベトナム戦争のアビリーン作戦で、敵に囲まれた米軍兵士を救助した空軍のピッツェンバーガーが、名誉勲章を与えられなかった真実を描いた実話を元にした作品で、非常に地味な物語ですが、キャストが往年の…
「太陽は動かない」 それほど期待していなかったのですが、その通りだったというのはそれはそれで寂しい。アクション映画だと思って見ているとそのテンポの悪さに辟易とするが、人間ドラマだと見るとそれなりに監督の羽住英一郎の力量が発揮されていると思い…
「リーサル・ストーム」 荒っぽい上に都合良すぎの脚本で、ただ面白ければいいという展開が痛快なほどに楽しい典型的なB級アクション。その場その場でアイデア出てきたんじゃないかという流れに呆気にとられるけれど退屈しないのが良かった。監督はマイケル…
「ガンズ・アキンボ」 ハイスピードなカメラワークと細かいカットの切り返しとスローモーションを組み合わせた編集でテンポよく展開するスピード感は面白いのですが、なんとも悪趣味でグロとスプラッターが入り混じったZ級アクション映画という仕上がりでし…
「あのこは貴族」 これは良かった。演出とはこういう風にするものというお手本のように隅々まで行き渡った手抜きにない映像作りにまず驚かされるが、それにプラスして役者の使い方が実に上手い。さらに映像のリズム感も見事な感性で綴られていくから、物語が…
「女舞」 物凄いしっかりと作られた逸品で、この時代このレベルの映画が普通に作られていたのだから感心してしまいます。決して名作とかいうレベルの出来栄えではないけれど、一つ一つのシーンに役者の迫力が見られます。素晴らしかった。監督は大庭秀雄。 …