くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「殺人容疑者」「無警察」

「殺人容疑者」 丹波哲郎生誕百年祭で、本名丹波正三郎でクレジットされているデビュー作、二度目の再見。非常にシンプルな刑事ドラマという作品で、1952年当時の渋谷の景色、さらに映画俳優を使わず劇団員中心で配役したリアリティ、警察の全面協力で本物の…

映画感想「せかいのおきく」「郊外の鳥たち」「アダマン号に乗って」

「せかいのおきく」 スタンダードモノクロ映像で美しく描く糞まみれの映画ですが、台詞が実によく練られていて美しい上に、掛け合いのテンポがとってもいいので映画がほのぼのとしてきます。世の中で生きていくことの人それぞれの役割というものがあるんだと…

映画感想「ベネシアフレニア」

「ベネシアフレニア」 もっとエグいホラー映画かと思ったら、非常に高級な普通のホラー映画だった。オープニングから前半部分の流麗なカメラワークとリズミカルなカットつなぎは一級品のレベルだし、殺戮シーンもアクロバティックな殺人鬼の描写や、工夫を凝…

映画感想「大阪古着日和」「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

「大阪古着日和」 ゆるゆるでたわいもない映画ですが、見ていて微笑ましいほどに癒されます。そのほんわかしか空気感がとっても素敵な小品でした。わざわざお金を払って見るかどうかはともかく、楽しいひと時を過ごせた気がします。監督は谷山武士。 大阪の…

映画感想「東京リベンジャーズ2血のハロウィン編-運命-」「午前4時にパリの夜は明ける」「若き仕立て屋の恋 Long Version」

「東京リベンジャーズ2血のハロウィン編-運命-」 後半の物語の前提となるエピソードの説明だけの作品で、ここまで悪どい商売されるとちょっと引いてしまう。アクションシーンもドラマシーンもそれほど凝ったものはなく、どちらかというとかなり破綻したダイ…

映画感想「ゲネプロ★7」「レッド・ロケット」

「ゲネプロ★7」 深夜ドラマみたいな出来栄えの映画でした。主要な人物七人それぞれの演技はしっかりしているのだけれど、七人の個性が全く描ききれていないので映画が平坦で凡庸になってしまった。凝縮されたミステリーと言う雰囲気の脚本ですが、映画全体の…

映画感想「ヴィレッジ」(藤井道人監督版)

「ヴィレッジ」 語らんとすることはわかるのですが、いかんせん先の読めるストーリー展開とありきたりなキャラクター設定、意味ありげなあざとい映像演出でテレビドラマを見ているような薄っぺらさを感じてしまった。もちろん、映画のクオリティはそれなりの…

映画感想「最高の花婿 ファイナル」「丹下左膳余話 百万両の壺」(4Kリマスター版 最長版)

「最高に花婿 ファイナル」 特にできがいい映画ではないけれど、好き放題に人種差別や国差別などを笑い飛ばしていく爽快感が大好きなシリーズです。今回気がついたのですが、クロードの家の女中がバベットだったり、塀を作りにマリオが来たりというノリの良…

映画感想「search#サーチ2」「河内山宗俊」(4Kデジタル復元版)「㊙︎色情めす市場」(デジタル復元版)

「search#サーチ2」 時間潰しをするにはちょうど良い面白さのサスペンス映画でした。この手のパターンの作品は、道具立ては違うとはいえ傑作がたくさんあるので、そこまではいかなかった感じです。とは言っても、驚くどんでん返しと、これでもかという伏線と…

映画感想「聖地には蜘蛛が巣を張る」「薔薇の名前」(レストア版)

「聖地には蜘蛛が巣を張る」 恐ろしいほどの傑作だった。いや、人間の視点の恐ろしさに寒気がしてしまう。信念に囚われた一人の男が次第に狂気の化け物に変貌する様のクライマックスの演出に圧倒されてしまった。もちろん、宗教的な背景や、国柄の空気感は身…

映画感想「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」「ハロウィン THE END」

「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」 とにかく木村大作のカメラが抜群に美しいし、アニメを挿入したり、空に汽車を合成したりするファンタジックな映像が素敵な素直にいい映画でした。監督は大森一樹ですが、あまり癖のない映像作りはかえって主人公の素朴な…

映画感想「幻滅」「未来は裏切りの彼方に」

「幻滅」 単純にピカレスクロマンのようなサスペンスとして面白かった。バルザックの原作があるとはいえ、ストーリー展開が実に小気味良いしスピーディでキレがいいので、時代が少し前というレトロ感を払拭して素直に楽しめた。映像の懲り方も程よいし、キャ…

映画感想「サイド バイ サイド 隣にいる人」

「サイド バイ サイド 隣にいる人」 淡々と進むストーリーというよりダラダラと流れるストーリーという感じの独りよがりの映画で、ちょっと変わった構図とカメラアングル、編集、カット割はわかるのですが、こちらに伝えるという演出が皆無なので、あらかじ…

映画感想「AIR エア」「仕掛人・藤枝梅安2」

「AIR エア」 エアジョーダンが生まれる経緯を描く物語ですが、実現させた英雄の話でもなく、商品の売上金から選手が一部報酬を得るようになるシステムが生まれることになった話でもなく、こういう出来事があったという表現のみの作品になっていて、映画全体…

映画感想「ゴールデン・エイティーズ」「街をぶっ飛ばせ」「家からの手紙」

「ゴールデン・エイティーズ」 軽いタッチの恋愛群像劇のミュージカル。まさに「ロシュフォールの恋人たち」的な映画でしたが、シャンタル・アケルマン監督らしいさりげない毒味がとってもスパイスになって、しかもカラフルな衣装と舞台背景を楽しめる小品で…

映画感想「ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう」「世界の終わりから」

「ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう」 不思議な映画、ファンタジーでも寓話でもなく、何かメッセージがあるわけでも風刺でもなく、ラブストーリーかといえばそうでもない、日常の普通の中に存在する不思議を独特の感性で描いているのですが、映像や…

映画感想「ヌーのコインロッカーは使用禁止」「一晩中」「ノック 終末の訪問者」

「ヌーのコインロッカーは使用禁止」 カメラワークもカット割も素人っぽくて、しかもストーリー展開の構成も古臭く雑な映画なのですが、全体から湧き出てくる生の人間味の暖かさにどんどん引き込まれてしまいます。実在の人物を元にしているとはいえ、胸が熱…

映画感想「ノートルダム 炎の大聖堂」「ザ・ホエール」

「ノートルダム 炎の大聖堂」 2019年のノートルダム大聖堂の大火災をIMAXカメラとVFXを駆使して描いた作品ということで見に行った。映画全体のほとんどが消化活動シーンを描いていて、個別のストーリーは存在せず、火災に遭遇した消防士たち、群衆、をひたす…

映画感想「パリタクシー」「ガール・ピクチャー」「ダークグラス」

「パリタクシー」 ほのぼのしたハートフルヒューマンドラマという感じで、余計なメッセージは最小限で、人生の機微をさりげないユーモアを交えて描いた小品。気軽に楽しんで胸が熱くなる映画でした。監督はクリスチャン・カリオン。 タクシー運転手のシャル…

映画感想「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」「Single8」

「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」 リアリティも何もない、子供のお遊びのような映画なんだけれども、主演の二人の軽妙な会話劇の面白さと、キレのいいアクション、そして、軽いタッチの肩の凝らないシンプルなストーリーで今回は前作以上に楽しめました。…

映画感想「フラッシュ・ゴードン」(4Kリマスター版)「トリとロキタ」

「フラッシュ・ゴードン」 初公開以来の再見。中心の話に枝葉をつけていく展開などそっちのけで、枝葉が次々と進んでいく支離滅裂なストーリー展開にあっけに取られる、まさに珍作。無駄に大作な画面と趣味の悪い造形美術がとにかく楽しい一本で、結局面白く…

映画感想「生きる LIVING」「わたしの幸せな結婚」

「生きる LIVING」 黒澤明監督の名作「生きる」をオリジナルにした作品ですが、オリジナル盤と比べるにはさすがにおこがましいと思うので、単体の作品として見てみれば、辛辣な毒の部分を排除した美談としての映画に終始した感じです。落ち着いた色調処理し…

映画感想「大失恋。」「「さよなら」の女たち」「T.R.Y.」

「大失恋。」 大森一樹監督追悼特集。とっても洒落た恋愛ファンタジーで、本当に楽しかった。8組のカップルの三ヶ月余りの青春の一ページを遊園地を舞台に描かれる様が素敵で心地よい。思いの外の佳作で、見て良かった。監督は大森一樹。 「美しき青木ドナウ…