くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2023-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「コーポ・ア・コーポ」「007サンダーボール作戦」(4Kリマスター版)

「コーポ・ア・コーポ」 安アパートコーポの住民の物語をオムニバス調で描くゆるゆるの癒し映画です。芸達者なキャストを集めて淡々と描く物語ですが、普通と言えば普通の映画だった。でも、小品ながらまったりした時間を過ごしました。監督は仁同正明。 金…

映画感想「アメリ」(デジタルリマスター版)

「アメリ」 十年ぶりの再見。ファンタジックなロマンティックコメディという映像世界は、やっぱり酔いしれてしまいます。オドレィ・トトゥが抜群に可愛らしいし、何もかもが夢の世界、でもとっても素敵なラブストーリー、名作というのはこういうのをいうので…

映画感想「007ドクター・ノオ」(4Kレストア版)「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」

「007ドクター・ノオ」(007は殺しの番号) 007シリーズ第一作で、テレビでしか見ていない一本をついにスクリーンで見る。格子からの光を多用した画面作りとスピーディなテンポで展開するストーリーで、娯楽映画の面白さをコンパクトに詰め込んだ作りがとって…

映画感想「法廷遊戯」

「法廷遊戯」 原作は良いのだろう、相当見事に組み立てられたサスペンスと奥の深いメッセージが織り込まれているのですが、いかんせん役者が弱いためにストーリーをなぞっただけの薄っぺらいミステリードラマに仕上がってしまったのは本当に残念な作品。杉咲…

映画感想「マーベルズ」「花腐し」

「マーベルズ」 自分たちだけが楽しんでいるのではないかというようなストーリーで、物語の面白さは全くなく、と言ってアクションがすごいわけでもなく、特撮も今時のCGに目新しさもない、さらにヒロインが全然可愛くも美しくもないその辺の人となったら、も…

映画感想「蟻の王」「理想郷」

「蟻の王」 ブライバンティ事件を扱った作品ですが、映画のクオリティは優れているものの、それがかえってこういう同性愛問題を描くには美しすぎる出来栄えになった気がします。ドラマ性もストーリー展開も丁寧で絵も綺麗です。主人公二人も純粋に美しい。い…

映画感想「しあわせはどこに」(西河克己監督版)「青春怪談」(市川崑監督版)「死の十字路」

「しあわせはどこに」 一昔前の連続テレビドラマという感じのメロドラマで、その意味で懐かしさに酔ってしまう空気感がとっても良い。決して出来のいい映画ではないものに、一昔前のノスタルジーに浸れる一本でした。監督は西河克己。 主人公橋爪淳子がある…

映画感想「正欲」

「正欲」 正しい欲望、まさにその核心に迫っていく展開が恐ろしくクオリティが高い。気がつくと、普通と言うものにある意味毒されている自分に気がついてしまって寒気を覚えてしまうようなドラマだった。ストーリー展開の構成のうまさ、映像演出の秀逸さにど…

映画感想「青の帰り道」「ガールズドライブ」

「青の帰り道」 なぜか見逃していた一本を見る。高校生の友達七人が現実に直面してたどる青春群像劇で、物語としては今更かもしれないが、大きなシーンの転換点で細かいカットを繋いで映像にリズムを作り出していく演出はなかなか上手い。さらに七人それぞれ…

映画感想「サタデー・フィクション」「さよなら ほやマン」

「サタデー・フィクション」 手持ちカメラを多用した縦横無尽のカメラワークとモノクロ映像によるリアリティ、スパイ映画らしい娯楽性を兼ね備えたなかなかの秀作でした。面白かったし、いつの間にか画面に引き込まれる魅力にも満ちていた気がします。監督は…

映画感想「ザ・キラー」「私がやりました」

「ザ・キラー」 Netflix配信映画と思って見ているからかもしれないが、テレビドラマレベルの映画だった気がします。特に名前を語らずに淡々とスピーディに進むお話は面白いのですが、あちこち飛び回る割にはスケールが広がっていかない。でも主人公が全くピ…

映画感想「団地 七つの大罪」「太陽を抱け」

「団地 七つの大罪」 たわいない映画ですが、軽快なテンポで流れていくオムニバスストーリーがとっても小気味良い。もちろん時代色はあるのは否めないが、芸達者が生み出す軽妙なリズム感を楽しめるだけでも十分見る価値のある娯楽映画でした。監督は千葉泰…

映画感想「暗殺の森」(4Kリマスター版)「唄う六人の女」

「暗殺の森」 約十年ぶりの三回目の再見ですが、やはり傑作ですね。ベルトルッチ監督の才能が凝縮されているために難解になっていると言うのは事実ですが、オープニングからラストシーンまで全く無駄のない計算と演出意図を散りばめた映像、ヴィットリオ・ス…

映画感想「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」「ゴジラ−1.0」

「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」 可もなく不可も無く、たんたん飄々と展開する作品で、これと言って秀でたものもないが、そうかといって貶すところもない映画でした。脇役の立ち位置が見えないので、映画自体は平凡そのも…

映画感想「こいびとのみつけかた」「愛にイナズマ」

「こいびとのみつけかた」 ほのぼのしたファンタジックなラブストーリーかと思っていたのですが、ちょっと珍妙な映画だった。さりげなく挿入される社会記事を聞かせる展開が妙に鼻につき始めるのは私だけでしょうか。ストレートに好きになれない映画という感…

映画感想「ヨーロッパ新世紀」「焼け石に水」

「ヨーロッパ新世紀」 これは難しい映画だった。ルーマニア語、ハンガリー語、その他を色分けして字幕を出すあたり、そもそも覚悟が必要だったのだろう。民族的なことも、社会的なことも歴史的なことも、ルーマニアのトランシルバニアという地域性を理解して…

映画感想「男と女」「ドミノ」

「男と女」 約四十年ぶりくらいの再見、午前十時の映画祭で見直しました。やはり唯一無二の名作ですね。映像と音楽が一つのリズムを作り出して物語を語っていく感じの作品で、細かいカット編集や美しいインサートカットの挿入、モノクロとカラーを切り替える…

映画感想「SISU シス/不死身の男」「栗の森のものがたり」「竜二」

「SISU シス/不死身の男」 個性的なアクション映画という感じの作品で、北欧らしいちょっとグロテスクなシーンの連続と、キレのいいハイテンポな展開はハリウッドアクションにみられない面白さを楽しめました。監督はヤルマリ・ヘランダー。 1944年、第二次…

映画感想「カンダハル 突破せよ」「私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?」

「カンダハル 突破せよ」 何が何だかという映画。イラン、イスラエルを舞台にすると、現地の派閥が全く把握できないので、あれよあれよと流れで見ているだけになってしまう。タイムリミットサスペンスの面白さはほとんどないし、主人公以外は顔の判別はつか…

映画感想「ザ・クリエイター/創造者」「悪い子バビー」

「ザ・クリエイター/創造者」 面白い話に見えるのですが、B級映画に見られるような妙なメッセージが中途半端に埋め込まれていて、ストーリーテリングがおざなりになって流れが淀んだ作品に仕上がった気がします。もう少し、脚本を丁寧に仕上げた上で、ラス…

映画感想「宇宙探索編集部」「メドゥーサ デラックス」

「宇宙探索編集部」 ヘンテコな映画ですがどこか憎めない作品で、ラストシーンには不思議と感動が漂ってくる。人間が夢を見続けるという不思議なメッセージが見え隠れするのが良い。映画大学の卒業制作作品らしいけれど、編集も演出もちゃんとできているし、…

映画感想「おまえの罪を自白しろ」「フィフィ・マルタンガル」

「おまえの罪を自白しろ」 確かに面白いストーリーです。その意味でエンタメ映画としては十分に楽しめましたが、いかんせん主人公の中島健人が非常に弱く、前半部分のポリティカルサスペンスの部分に迫力が伴わない。その結果、後半の意外な展開からな真相へ…

映画感想「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」「トルテュ島の遭難者たち」

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 なんともキレのない脚本で、単純は物語なのに延々と同じパターンが展開して行く。しかも、冒頭のオセージ族の描写がみるみる薄れて行くために映画に深みがなくなってただの頭の弱い主人公が騙されるままに殺人を繰り…

映画感想「エピデミック〜伝染病〜」(4Kデジタル修復版)」「死霊館のシスター 呪いの秘密」

「エピデミック〜伝染病〜」 モノクロシンプルなストーリーにトリアーらしい感覚が満載された映画でした。劇中劇の形式を取りながらいつの間にか現実か架空の世界か分からなくなる展開がなんともファンタジックと言うかミステリアスという作品で楽しめました…

映画感想「月」「シック・オブ・マイセルフ」

「月」 圧巻、人間の本音に刃物を突き立てるかの如くストレートにテーマを描く一方、シンプルな物語に、それに対する微かな反論を垣間見せる。芸達者な役者たちの演技合戦もすごいが、アニメを交え、映像テクニックを駆使したカメラワークで語る演出に引き込…

映画感想「ゆとりですがなにか インターナショナル」

「ゆとりですがなにか インターナショナル」 ごった煮のように始まるにも関わらず、ちゃんとメッセージをさりげなく盛り込んだ上に、ホームドラマ的な感動も生み出していく緩急の効いた物語作りは、ほんまにクドカン上手いと頭が下がります。今回も、お話は…

映画感想「春画先生」「キリエのうた」

「春画先生」 レトロ感満載の色彩映像と大正ロマンを思わせるテンポと空気感が独特のオリジナリティで妖艶なラブストーリーとして描いた作品で、シンメトリーな画面、エロスを漂わせる展開が楽しい映画でした。監督は塩田明彦。 喫茶店に勤める春野弓子が画…

映画感想「アナログ」「シアター・キャンプ」

「アナログ」 物語は今更目新しいところもないのですが、映画として良くしようという真面目な演出がなかなか見せてくれる作品でした。極端な望遠による背景のぼかしや、あざといほどの様式にこだわった画面、あまり意味もない気がする俯瞰アングルなどなど、…

映画感想「ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)」「トラスト・ミー」

「ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)」 ジャン=リュック・ゴダールが描かんとした主義主張を初期作品から晩年に至るまでのフィルムを映し出しながら語っていくドキュメンタリー。作品の一部は好きなものもあるが監督としては特に好み…

映画感想「白鍵と黒鍵の間に」「ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌」

「白鍵と黒鍵の間に」 駆け出しの若手監督が作るような作品で、大人が作る映画ではなかった。脚本が稚拙、演出も弱い上に、安っぽい描写の数々が映画をどんどん薄っぺらくしていく。緩急のないドラマ作りが、せっかくのファンタジックな時間の交錯ドラマもた…