「サクラダリセット 前篇」
もっと薄っぺらい映画かと思ったのですが、かなり面白かったし、真剣に感動してしまった。後篇が楽しみになる一本でした。監督は深川栄洋です。
ある高校で一人の少女相麻薫が事故で亡くなった。そのことを告げる先生のカットから物語は現代、主人公浅井ケイと春埼美空が登校するシーンから、通り越して行ったクラスメートが事故で死ぬ場面へ。
ケイが美空に「リセット」というと時間が3日前にさかのぼる。そしてこのシーンにかぶって、このサクラダの町に住む人々の不思議な能力が紹介される。この導入部から本編への流れが非常にうまいことが見て行くに連れてわかってくる。
そしていつの間にか、特殊能力を見せるだけの展開から物語の本編に入り込んでいる。原作も面白いのだろうが、脚本の組み立てが抜群にうまいのだ。しかも、黒島結菜のかすかな目の表情の演技も抜群で野村周平のクールな存在感とお互いを引き立てているのが良い。
この町には特殊能力を管理する組織があり、その中枢に呼ばれたケイと美空はそこで、この組織のトップの能力者で未来を見ることができる魔女と呼ばれる人物と出会う。そして、ここにくるに至る前に依頼された写真の中に入ることができる男性のことが、実は魔女のかつての恋人であるという切ない話も絡んできて、一方で組織を破壊しようとする村瀬らの企みも加わり、ケイは全てをうまく納めるために美空のリセット能力を巧みに使うとともに、相馬を生き返らせる計画を立てる。
クライマックスは、果たして様々な能力を使った計画でうまく成功するのか、どういう計画なのかというサスペンス色が表になってきて、とにかくどんどん終盤に引き込まれていきます。
そして、見事計画は成功、相馬は生き返るが、実は相馬は魔女の後継になる立場の人物で、彼女が全てを仕掛けたことも見えてきて、後半へ続く。うまいというほかないストーリーテリングである。後半の宣伝も流れるが、後半の方がちゃちなのではと思えるほど前半は緻密に練られた作品になっていました。
黒島結菜を見に行った程度でしたが、思いの外掘り出し物でした。
「キングコング 髑髏島の巨神」
典型的なB級怪獣映画で、とにかく面白い。かつての東宝のゴジラシリーズのごとき展開である。監督はジョーダン・ボート=ロバーツです。
伝説と思われている髑髏島の存在を見つけたランダらは傭兵を連れて髑髏島へやってくる。しかし、そこは巨大生物が住む世界だった。
あとは、ひたすらキングコングや巨大蜘蛛、巨大トカゲなどとのバトル戦。クライマックスはキングコングと巨大トカゲの大バトルの末キングコングが勝ち、背を向けて去って行くという、まるで昭和ゴジラ映画のラストの如し。
しかもエピローグで、この島にはかつて、もっと怪物がいたというスライド映像の中にゴジラやラドン、モスラやキングギドラのシルエットが見えるというお遊びも満点。
一級品では決してない映画ですが、そもそも怪獣映画は一級品であってはいけないのです。だから面白い。その原点を貫いた点で評価できる楽しい娯楽映画でした。