今や押しも押されぬ中国映画界の巨匠、チャン・イーモウ監督の「HERO」に次ぐ武侠映画である。
とにかく、美しい。チャン・イーモウ得意の色彩感覚で、美しい森や林をバックにすばらしい格闘シーンが展開します。
花畑、紅葉、竹藪、雪景色。
まるで夢を見ているようでありながら、どこか現実的に見えるすばらしい演出。
「初恋の来た道」での黄色やグリーンの田園シーンを思い出しました。
さらにすばらしいのがチャン・ツィイー。
冒頭シーンのすばらしい舞踏シーンは中国独特でありながら、彼女にしかできない見事な踊りを展開します。
三メートル以上もある長い袖をまるで生きているかのように自在に操りながら右に左に、飛び、回り、かけるシーンは圧巻です。
さらに、格闘シーンも最高に輝いているのです。棒術や飛翔シーン、飛刀シーン。どれもが彼女の魅力も加わって迫力のしかも華麗なシーンに仕上がっています。
さらに、今回の作品で見せる彼女の笑顔。あの「初恋の来た道」で見せた、にこっとするかわいらしい笑顔がこの映画では再び見ることができます。
あのころに比べ、少し大人になり成長し、本当に美しい女優さんになりましたが、やはりあの笑顔は絶品ですね。
チャン・ツィイーがすばらしいので、名優アンディ・ラウや金城武の存在が少し薄くなっていることは否めません。
キネマ旬報によると、重要な役柄に指定していたアニタ・ムイの突然の死とそれに変わる代役を立てずに作品を完成させたための未完成さを訴える記事が載っていましたが、確かに、彼女が出演していたら、さらにすばらしくなっていたかもしれませんが、今のままでも十分に見事な作品に仕上がっています。
アニタ・ムイについては、私のHPで特集を組みましたのでご覧ください
「LOVERS」アニタ・ムイに捧ぐ
私の個人的な趣味でいえば、妙に懲りすぎた「HERO」よりもこの「LOVERS」の方がいい作品ではないかと思います。
さらに、欲を言うと、チャン・イーモウ監督にはかつて、コン・リーなどと撮った「菊豆」などの種類の映画をもう一度作ってほしい。
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