くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「2046」

予想はしていた内容であった。
宣伝フィルムをみていて、これはSFというよりシュールリアリスティックな映画ではないかと予想していたのです。

冒頭部分はCGを使った大胆な都市の描写に始まり、未来のトレインが疾走する姿が映り、しかし、いったいこれからどういう物語になっていくのか想像できないスタートであった。
予想通り、そんな未来の姿はこの映画のテーマを表現するための手段にすぎず、本筋の物語は1966年の香港を舞台に展開される。

導入部分はちょっとしんどいのではないかと思われた物語もチャン・ツイーが登場するに及んで映画の中に引き込まれていくことになる。いつの間にか眠気も吹っ飛んでこの不思議なSF的シュールリアリズムの世界に浸っていく自分がいた。それはチャン・ツイーの演技力のたまものではないかと私は思いました。

トニー・レオンの存在も木村拓哉の演技も悪くはないのですが、圧倒的な存在感と表現力で作品をぐいぐいと引っ張っていくチャン・ツイィの演技はまさにこの映画のテーマそのものであった。

おそらく映画祭で上映されたときは絶賛されたであろうことは十分納得できる。
作品構成のうまさ、これだけ複雑で抽象的な物語を最期まで見せてくれる脚本と演出そして演技のコラボレーションこそこの映画の神髄であったのです。

今思うと「ブレードランナー」をみた後のような不思議な感覚でした。
カリスマ的なSF映画の登場ですね。