くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「血と骨」

血と骨 コレクターズ・エディション
血と骨 コレクターズ・エディション

期待の作品「血と骨」を見てきたのですが、期待しすぎたのでしょうか、ちょっと・・・

まず第一に時間の流れが全然見えてこないのです。
いったい今の場面はさっきのシーンからどれくらい時が流れているのか?周囲の登場人物の成長の動きが見えない。

映画の中に時間を感じさせるには、それを示すためのインサートカットが所々に必要で、それが映画作りの基本なのですが、その基本をわざとはずしているのか、判っていないのか不明なのです。
崔洋一監督なのですから、判っていないはずもなく、わざとにしても、それが効果を出しているようには見えない。
なぜ、この時間の流れが見えてこないのか。結果として展開が判らない下りが随所に見られてしまいました。

さらに一人一人の人間をしっかり描き切れていないのです。
主演のビートたけしも暴れてSEXを繰り返すばかりで、せっかくの原作の味が出ていない。
どういう人間関係なのかわかりにくいので、途中で混乱してしまいます。
後からパンフレットを読んだのですが、そのストーリーは理路整然と書かれているのです。しかもその説明の中にあるシーンは出てこないので、おそらく原作から拾ったものでしょう。つまり、省略しすぎたのです。

何かをテーマにポイントを絞ったつもりが、かえって物語の重厚さを失ってしまい、混乱を作り、全体としてまとまらなくなってしまいました。
ラストシーンへの下りもほとんど短絡的になだれ込んで、意味がわからない。

冒頭部で挿入されていたナレーションは必要なときには挿入されないので、観客は混乱をきたします。もったいない作品でした。良い映画なのに欠点が目立ちすぎる。

ラストシーンがもったいない。そんな映画でした