森田芳光監督も大人になってようですね。デビュー当時のぎらぎらした実験映画のような魅力はさすがになくなりました。
強いていうと、「模倣犯」で、かつての遊び心が出たようですが。
それにしても、前作「阿修羅のごとく」もそうですが、淡々と描く中に観客を最期までしっかりと引き込んでくれる手腕はさすがですね。森田監督は大人になって大人の映画を作れるようになったのです。すばらしい。
今回の作品は佐藤浩一の見事な演技と仲村トオルの(さすがにふけたね)落ち着いたちょっとぎこちない演技、さらに伊東美咲の静かな演技が解け合って森田マジックに踊ったという感じの作品でした。
地味な内容なのに最期まで退屈しないのです。
のめり込めないストーリーなのに最期は何となく感動してしまったりして。
なかなかのできばえの映画でした。森田監督ついに円熟期になったのでしょうか。
リズムをつかむのがうまくなったというべきか、元々持っていた映画のリズムに対する才能がここに来てさりげなく出るようになったのか、今回の作品もそこそこの賞を取りそうですよ。