くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「Shall We Dance?」

「Shall we Dance?」オリジナル・サウンドトラック
「Shall we Dance?」オリジナル・サウンドトラック

日本版の秀作がアメリカでリメイク。
主演はあのリチャード・ギアなのだからまんざら適当な作品を作っていないだろうとは思っていた。
すでにハリウッド版「Shall we dance?」を見た人が口々に言うことは、家庭ドラマに焦点を絞っているのでこちらの作品の方が好きという意見。
もちろん日本版の「Shall we ダンス?」と比較するなと言う方が無理で、しかもつい先日民放で放映したのだからごらんになった人も当然いることでしょう。

私はとにかくこのハリウッド版「Shall we dance?」をオリジナルの一本の独立した作品としてみようとつとめました。
客観的に見ることははっきり言って至難の業ですが、日本版を見たときにどこでジーンと来てどこで感動してどこに魅せられたかをこのリメイク版に比べてみることにしました。

このハリウッド版「Shall we dance?」オリジナル版を踏襲しながら、日本とアメリカの文化の違いダンスに対する感覚の違い、体をふれることへのこだわりの違いを払拭すべく努力した跡がまざまざと見られます。
その努力を別として、このハリウッド版は純粋に家族ドラマとしていい映画であったかなと思います。作品の完成度の高さはと理屈を言えばきりがないでしょう。純粋にリチャード・ギアジェニファー・ロペスの映画としてみればいいのではないでしょうか。

ほとんどの展開がオリジナル版と同じに進んでいき、ラストシーンのみ必至で改編したという感じですね。
でもオリジナル版で、初めてダンスホールに来た役所広司があの「王様と私」のシャルウィダンスの曲にあわせてたまこ先生と踊る下りはまるでそこにデボラ・カーとユル・ブリンナがいるかのような錯覚を覚えて思わず背筋が寒くなりましたが、ハリウッド版には同じシーンなのにそこまで行かなかった。ハリウッド版では踊る前にシャルウィダンスの歌詞を歌う部分がほんの少しはいる、オリジナル版はいきなり大胆にくるくると踊り出す。このカット割りがオリジナル版の勝利です。
しかもカメラはオリジナル版はこっちから向こうに踊っていくのに対しハリウッド版は逆ですよね。その辺にやはり人々をわくわくさせるかどうかの演出力の違いがでてくるのではないでしょうか。

そのほか、オリジナル版のまねをしないようにと無駄なカットやシーンが多いこと、そして逆に抜いてはいけないシーンの削除が多いこと。
結局このピーター・チェルソム監督と脚本のオードリー・ウェルズはオリジナル版のすばらしさを意識しすぎたのです。
原案だけ採って、純粋にアメリカ版の映画にしていればもっと無理のない展開になったろうにちょっとそこが残念です。

ラストシーン「ラストワルツはわたしと」で結ばないアメリカ版にそれぞれの作品のテーマが凝縮されているような気がしました
Shall We ダンス? (初回限定版)
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