サマータイムマシン・ブルース
「踊る大捜査線」シリーズがあまりにも有名になってしまった本広克行監督。最近も「交渉人真下正義」を演出して、まるでメジャーな職人監督のように思われているが、私が彼の作品で好きな映画に「スペーストラベラーズ」がある。
全くアニメチックな物語展開と自由奔放な作品づくりが、日頃の肩の凝る作品に飽きてしまった頃に見るとほんとに心地よい作品であった。
今回の「サマータイムマシン・ブルース」もそんなノリを期待して見に行った。なんせ、先日まで日本映画の巨匠成瀬巳喜男監督特集にはまっていて、完成され尽くされた映画芸術ばかりを追っかけていたので少ししんどくなっていたのである。
本日の「サマータイムマシン・ブルース」、元々は舞台劇で、同志社大学の学生であった上田誠が自らオリジナルで作り上げた世界である。タイムマシンものではあるがH・G・ウェルズが描いたようなハードな世界でもなく、とにかく思い切り笑い飛ばしてしまう物語なのだ。とうはいえ、登場するタイムマシンがジョージ・パルが描いた古典映画「タイム・マシン」に登場する形にどこかしら似ていたり、舞台になる学校の時計台が「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の時計台に似ていたりと遊び心満点。しかも物語には定番のタイムパラドックスの矛盾なんかもでてくる。
そんなこんなではちゃめちゃなはずなのにそれなりに見入ってしまう小品映画。本広監督自身も言っているように、昔のように自由な自主映画を作っていた頃のような作品を作りたかった、というとおり、まさに自由奔放に作品づくりをしている。
前半部分はややしつこいのであるが、中盤から後半はあれよあれよと物語のからくりを追いかける展開でさりげなくラストシーンを迎えるのだからいいじゃないですか。
先日まで見ていた成瀬巳喜男監督作品のようないわゆる映画芸術の頂点のような作品とまるで月とすっぽんというと失礼かも知れないが、まだまだ未完成な作品との差がかえってはっきりと認識できたし、成瀬作品がいかにすごいかの実証になると友に、つまり作品のできばえというのはこうしたところにあるのだと納得したのであった。
とはいえ、本日の作品、商業主義にはまることなく好きなように本広監督の色がでていて好感度抜群の映画なのでした。
スペーストラベラーズ | |
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