ピーター・ジャクソン監督が「ロード・オブ・ザ・リング」の次に臨んだのはあの名作「キング・コング」の完全なリメイクだった。
時代設定も同じストーリーも同じ、登場するシーンも非常に似ている。
のであるが・・・・
泣いてしまいました。とにかく最高のラブストーリーというべきか、これが本当の「美女と野獣」というべきか、オリジナル版では美しい女性に恋してしまう野獣キング・コングというテーマで臨み、その点でも今回のリメイクは同じテーマだった。しかし、オリジナル版はやはり時代背景もあってか、非常に人間の利己主義が表に出た物語であったし、美しい女性を守るために戦うキング・コングの悲しさが十分に出ていなかったと思います。
ところが今回のリメイク版は3時間という長尺にしたために、丁寧にキング・コングとヒロインであるアンとの心の交流が描けているのです。
初めてキング・コングがアンに心を開きはじめる場面、その時のコングの切ない瞳、そして彼女を守ろうとするキング・コングのひたむきさ。胸を打ってきます。
随所に見られるアンのキング・コングへの視線、そしてキング・コングのアンへの視線(さすがCGの威力爆発)まるで心の声が聞こえてくるようでした。
自分のすみかから彼女をさらっていったのが巨大コウモリ、それがクライマックスの飛行機に重なってくるあたりの脚本の組み立ては見事。これはオリジナル版にはなかった名シーンです。
それに、摩天楼を登り切ったところでアンを安全なところにおろす場面もオリジナル版ではかなり危険なところにおろしているのですが、リメイク版では私たちが見ても安全なところにおろすあたり、このキング・コングをかなり擬人化しているように思います。このキング・コングの心遣いがその後のアンの行動につじつまをあわせるのですから、なかなか緻密な脚本ですね。頭が下がりました。
なぜ、摩天楼に上ろうとするのかという展開も計算され尽くされています。逃げ場がないと悟ったキング・コングがただアンに美しい夕焼けを見せたいがために、もう一度アンの笑顔を見たいがために、そして自分のすみかに酷似している摩天楼に逃げ込まんとするがために、もう彼女を離したくないというキング・コングのあまりにも純粋なそして一途な心であるが故の行動。リメイクは決してオリジナル版を越えようとしているわけではないがオリジナル版を補足するような形で三時間の名作に仕上げました。
是非見てほしい。もちろんオリジナル版の完成度の高さも素晴らしいが、このリメイク版も素晴らしい。ここに久しぶりに名作が誕生しました。
キング・コングができるまで 製作日記 フィギュアBOX
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