くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「レディ・イン・ザ・ウォーター」

レディ・イン・ザ・ウォーター

M・ナイトシャマラン監督の「レディ・イン・ザ・ウォーター」を見てきた。
そもそも、M・ナイトシャマラン監督という人は少々気取っているように見える。本来、B級ホラー映画のようなジャンルをさも良質の芸術作品であるかのごとく淡々と作っていくのがどうものめり込めない。

今回の「レディ・イン・ザ・ウォーター」は、人類の未来を危ぶんで、啓示を与え、そしてその解決策を教えるためにやってくるいわば神のような存在の一人の少女が主人公だ。

冒頭シーンで、海の人なる知的な存在が、人間の世界と交流しながら幸福な世界を作っていたのに、だんだんと陸地の奥に進んでいった人間たちが、海の人の存在を忘れ、争いを繰り返し始めているのが現代であるということを説明する。

この象形文字のようなアニメシーンを持ってきて、映画は最初から完全にフィクションの世界だと見せつけてくるのです。

そして本編。どこか「サイン」を思わせるような展開で海の人ストーリー(ブライス・ダラス・ハワード)からの啓示を受けるアパートの管理人ヒープ(ポール・ジアマッティ)の悪戦奮闘が描かれていきます。

物語の中心のエピソードはこのストーリーが自分の世界へ帰るためにヒープらアパートの住人が手助けするという展開なのであるが、そもそもストーリーを守るためにあらかじめ人間世界には解析者や職人や治癒者などの役割のある人が決まっていて、それらの人がこのアパートに住んでいるという前提なのです。
それらの人たちを説得する部分は大幅に省略して、なぜかみんなすんなりと自分の役割を自覚するところはよく考えるとムリがある。

でも、そんな非リアリティもM・ナイトシャマランの演出手腕なら問題なく淡々と物語は進むのである。このあたり、何とも底知れるM・ナイトシャマランの力量と言うほかない。そして、主要な登場人物の中にM・ナイトシャマラン自身も登場するのはいつもの通りでした。

シックスセンス」で鮮烈に登場したM・ナイトシャマラン。さすがに最近の作品は小品になってきたように思います。前作の「ヴィレッジ」は、はっきり言って駄作でした。今回の「レディ・イン・ザ・ウォーター」はなかなかおもしろい作品に仕上がっていて、引き込まれるのですが、いかんせん、非常にこぎれいなホラー映画になっています。

とはいっても、M・ナイトシャマランは全く作品のジャンルを変えずに徹底的に自分のジャンルを守り通しているところは立派です。今時、ここまで徹底している監督さんはいませんからね。その意味でもこれからもM・ナイトシャマランは応援していきたいと思います。