くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「墨攻」

墨攻

10万の敵に一人でのぞむ、をキャッチフレーズに酒見賢一の小説を基に森秀樹がコミック化したベストセラー「墨攻」を基にした期待の映画「墨攻」を見る。

主演の革離に扮するのは「インファナル・アフェア」のアンディ・ラウ
共演は名優アン・ソンギ、期待はその知略戦のおもしろさである。

中国は春秋戦国時代、小国である梁に大国、趙が攻め入って来るという情報が入る、墨家に応援をたのんでいるが、未だ返事が無く、高官たちは全面降伏による和解を王に進めるが、王も決断がつきがたい。万を期して、降伏するとこと決めた矢先、一人の男が城門の前にやってくる。彼こそ墨家の革離(アンディ・ラウ)であった。

彼は、城にはいると、まもなくして攻め入ってきた趙を弓矢一本で撃退してしまう。

こうして、革離が小国梁を守らんと、全軍の指揮権を王から譲り受け、趙からの攻撃を防ぐ手だてを始める。

物語はその攻防戦を中心に、革離の人間としての苦悩や、恋、高官からのねたみなどのドラマが展開していく。
壮大なスペクタクルとして、戦闘シーンは圧巻であるが、この映画の本質は、城を守るという本質ももちろんであるが、敬愛を主とする墨家としての革離の心の葛藤が本筋に流れている。

したがって、知略戦によるエンターテインメントだけを期待して見に行くと、やや拍子抜けするともいえる。さらに、まだまだ中国映画の弱点である王、や高官たちの描き方。あまりにも低能力で、ふがいない存在として描かれている。確かにそうかもしれないが、王という存在自体はもう少し貫禄があっても物語の設定上、おもしろ方のではないかと思うのですが。

ただ、知略戦を見せる映画ではないということが物語が始まってすぐにわかってくるので、最後まで、革離の人間ドラマとして十分楽しめる内容になっています。
その意味で、薄っぺらなドラマに仕上がらず奥の深い内容になっており、所々に無理をしたところもないではないのですが、それなりにいい映画だったと思います。

逸悦(フォン・ピンピン)との恋物語は悲しい結末ながらもう一つ内容に欠けますが、このあたりは少々欲張りすぎたのではないでしょうか?原作の第三巻までの物語と言うことで、まだまだ物語が続く状態のお話なので無理がでたのでしょう。

とはいっても、まとまりは見事なもので、大作のイメージ十分の映画でした