くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」

ハリーポッターと不死鳥の騎士団

シリーズ第五作目となる「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」をみる。
すでに原作では完結編第七巻が出版されたので、後から追いかける形での映画公開である。

監督は全作アルフォンソ・キュアロンから代わってデイビッド・イェーツ。人物描写の演出力に定評があるということであるが、正直、この作品では全く生かされていない。
今までのシリーズを知るものしか全く話についていけない。

2時間以上ある作品なのだから、丁寧な描写を重ねることで、登場人物の姿を紹介することは十分にできるのである。もちろん、人気シリーズなので、誰もがみているだろうという前提を持って演出するのも結構だが、あくまで商品としての映画作品であることも当然、わかっていないといけないと思う。

お話は、前作でついによみがえったヴォルデモート卿がハリー・ポッター以下の関係者を葬らんとする画策と、間舘にしていないもう一つの品物を手に入れるための画策にたいし、阻止せんとするハリー・ポッターらの活躍を描くのだが。

くどいほどに延々と前半部分の物語が展開する。このあたりがかなりしんどいし、まどろっこしい。原作の第五巻もあまりスペクタクルではなかったような気がするが、やはりスクリーンに描写するには観客を引き込むための”つかみ”が必要である。

クライマックスの魔法戦は確かにおもしろいが、見応えがあるほどのものでもないし、演出の冴えも全くない平凡なシーンである。

前作で、いよいよ大人の謎解き映画として展開してきたこのシリーズのおもしろみが、この第五作でつぶされたような感じもする。なぜ、前作同様、アルフォンゾ・キュアロン監督を起用しなかったのか疑問が残る。

とはいっても、2時間以上の物語が、寝入ってしまうほどの退屈さはなく何とか最後までみれたのは原作を知るものとしてのラッキーというしかない。
今のところ、映画化された5本のうちの最低のできばえであった。