くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ピアノの森」

ピアノの森

特に期待していたわけではない。これといって、目に付くものもない平凡なアニメだと思っていたのです。

ただ、大ファンの上戸彩ちゃんが主演の一ノ瀬海役の声優をこなしているということへの興味のみで見に行きました。

アニメとしては本当に平凡な作品でした。もちろん、マッドハウスが絡んでいるためにそれらしいシーン(モーツアルトの幽霊が主人公を取り巻くシーン)はありましたが、平凡な物語とこれといった独創性もない画面なのですが、最後までしっかりと見入ってしまいました。

ある天才ピアニストが手放した一台のピアノ、そのピアノが巡り巡って森の中にうち捨てられています。誰もが引いてみようとしますが、全く音を出さない。なのに、一ノ瀬海が引くと何とも心に訴えかける音色を出すのです。

このピアノを鳴らせるのはかつてこのピアノの所有者であったピアニストと選ばれたものだけなのです。

そんな天才的なピアノの才能を持つ少年と、一夏、やってきた一人の転校生雨宮修平とのほんのわずかな期間の交流の物語に、なぜか、胸に迫る思いで必死で見入っている自分に気が付いたときに、果たして、ひいき目にこの作品を見ているのか、それともこのアニメに独特の魅力があるのか、途中何度も考えてみました。

もちろん、上戸彩ちゃんの声に注目していたのですが、ほとんど彼女の存在が見えないほどに主人公の声にはまりこんでいる演技力(演声力というべきか)に感服するとともに、才能に引き込まれました。

対する転校生雨宮修平役を演じた神木隆之介の声はあまりにもはまりこんでいない。神木の姿が浮かんでしまう。これは演技ではなく、ただの棒読みだ。などと偉そうなことを言いながら、天才少年役として俳優業を続けている彼の力量にやや疑い始めたのは、この映画ではなく、今テレビ放映中の「探偵学園Q」の彼をみて思ったことなのです。

さらに、主人公の母親役を演じる池脇千鶴、彼女の演声力もみごと。全く気が付かなかった。

結局この映画のラストは再び転校していく少年と、主人公との別れで物語は終わりますが、なぜか、しんみりと「いい映画だったかな」と思える感動があった。映画って本当に素晴らしいと思った。欲目にみたかもしれないが、この映画についてのほかの方々の感想を聞きたいものである。