くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アヒルの鴨とコインロッカー」

アヒルと鴨のコインロッカー

批評家が絶賛、吉川英治文学賞新人賞受賞、伊坂幸太郎原作の「アヒルと鴨のコインロッカー」をみる。

期待通りか期待以上か、期待はずれか、最近の日本映画はたいてい期待以上であることが多い。この作品は期待が大きすぎたのか、期待程度という映画だった。

時間と空間、現実と非現実が入り乱れ始めるミステリー仕立ての青春物語という感じで、非常に甘酸っぱい感動を呼ぶ映画である。

一人の大学生椎名(濱田岳)が、東京から仙台へ越してくるところから物語が始まる。やたらボブ・ディランを口ずさみ、それがきっかけで、部屋の隣の河崎(瑛太)という男と知り合う。そして、突然持ち出された本屋襲撃の計画、さらに、それをいっしょに実行する羽目になる椎名・・・

犯行の中、目的は広辞苑を盗むことだとうち明けられ、訳もわからず共犯になるのだが・・・このシーンの中にこの物語のすべての謎の伏線が張られている。確かに見事である。

さて、まんまと盗んだ・・と思ったのは広辞林。と、すでにここからが本編に入る。
映画はこの訳のわからない犯行の背後にあるあまりにも切ない恋物語が中心なのだ。

ここから、映画は時間を交錯し、登場人物さえも入り乱れて入れ替わる。主人公かと思いきや別人であったり、それぞれの役柄が実は入れ替わっていたり。実在の人物が空想の中に消えていたらと、複雑に種があかされていくのだ。そして、その種明かしの中で、3人の若者たちのひとときの物語が明らかになっていく。

なぜか、しんみりとするラストシーンには、いままでありそうでなかった、青春映画の秀作が存在したのです。

こうして、感想を書きつづっていくと、この映画の本当の良さが見えてきて、もう一度みたくなる。これが秀作なのかもしれません。

ただ、最後に濱田岳という俳優さん「3年B組金八先生」の時から嫌いで、どうも、感情移入できなかったのが、この映画に完全にのめり込めなかった原因かもしれませんね