堤幸彦監督の作品は、期待以上期待はずれが両極端なので、若干不安でしたが、大好きな石原さとみちゃんがでていることもあって、期待半分に見に行きました。
感想は絶賛!久しぶりに本当にいい映画を見ました。
画面のテンポといい、カットの組立といい、音楽との融合といい、物語の展開といい、どれをとっても見事に一つになっているのです。
作品の冒頭、「何かが失われていく・・・」とつぶやく主人公石原さとみのせりふから、やがて、「包帯一本で世界が変わればめっけもんだろう」と豪語する柳楽優弥の不自然な関西弁に至ってからの本編、そして、包帯クラブの活動が終演してからのだめ押しのラスト部分まで、すっかりのめり込んでしまいました。
細かいカットを重ねていく堤幸彦の独特の演出工夫、俯瞰で取るかと思えば、ぐっとよって固定カメラで取っているのに、ワンシーンだけぐーっとカメラがよるという移動撮影を挿入してリズムを作る見事さ。
なぜか、じわりじわりと胸に迫ってくるのです。これといってたわいのない包帯を巻くという活動が、ある人には最高の癒しの効果となり、心を開くきっかけとなっていくあたりのじんとくる感動。その一方で、幼なじみの4人がもう一度あのころに戻りたいと望むそれぞれの幼なじみの心境、そして、彼女たちを取り巻くさりげない家庭環境。母親役の原田美枝子や風吹ジュン、バイト先でのちょっとした出来事など、もちろん、原作のおもしろさが生かされているのかもしれませんが、映画は物語だけで感動する物ではないということを証明する一本でした。
最後のハッピーエンドも、当然の結末であるようで、そんな結末にはならないだろうという予想をもう一度裏切る丁寧な結末の作り方には何とも頭が下がりました。さらに、主人公の四人プラス二人の少年達が、いつの間にか、心の成長を遂げていくラストにいたって、もっと、彼女たちを見続けたいという思いに捕らわれながら終わる作品でした。
とにかく、書きたいことが山のようにある、本当にみてほしい映画、そんな一本なのですよ