これが日本映画のラブストーリーだといわんばかりの美しい純愛ストーリー、とても、稚拙な韓国映画は足元にも及ばない。
ちょっとレトロチックなアパートに越してくることになる主人公沢尻エリカ、その部屋で見つけた一冊の日記帳、その日記帳を読み進むうちに、次第にその日記の主にいろいろな勇気をもらいながら、現実の自分が今直面している淡い恋物語がつづられていくという物語。
主演の沢尻エリカのかわいらしい名演も光るが、相手役の伊勢谷友介のどこかかっこよすぎるのにどこか鈍くさい姿にも好感を持ってしまう。
なんといっても。暴騰からこった構図、画面づくりに参ってしまう。
屋根にそれとなく座っている猫や、はらはらと舞う桜の花びら、背後にぼんやり光るランプなど、非現実かと思わせるような画面づくりを徹底している。
読み進んでいく日記帳の中の主人公竹内結子の姿は何となくちぐはぐであるが、現実の沢尻、伊瀬谷、永作などの登場人物は何となく切ない純粋な世界に浸っている。
完全なファンタジーではなく、どこか、中途半端なできばえがかえって、みている私の心を物語に取り込んでしまいました。次はどうなるのだろうという物語よりも、どこか不器用なんだけれども大胆な行動を繰り返す主人公を一方で応援し、もう一方で、うーーんとうなりながらみている自分がいるのです。
よくあるストーリーなのかもしれませんが、美しい構図を畳みかけるように演出していく行定勲監督の丁寧な画面づくりに惹かれたのかもしれません。
最後の最後にはスクリーンから目が離せなくなり食い入るように主人公二人のラストシーンに拍手していました。
作品のレベルがどうのこうのというより、いい映画でしたね。