前作の大ヒットを受けて、続編が誕生。もちろん、物語は四年後にうつり、登場人物や展開も前作の続きで展開していきます。
思えば、昭和三十三年、三十四年といえば、自分たちがなんの心配もなく日々を過ごしていた子供時代。煩わしいことはすべて親任せのまさに天国の時代だったのです。そんな懐かしい時代を背景にしたこの映画が、ヒットしないはずはありません。
時代は東京オリンピックへと向かう高度経済成長の真っ最中。
いずれ、完成する首都高速などがまだ幻であった時代。空を見上げてもそこには一面の空しかありません。ビル群も少なく、まさに空が大きかった時代です。
一つ一つのエピソードは前作を知るものにはにんまりとさせられるものばかりですが、今回初めてこの映画を見る人にとっても、あまりにも懐かしく、そして、ノスタルジーに浸れる映画なのです。
そもそも、短編の物語をつなぎ合わせた長編映画だけに、所々に寸止まりのようなところもたくさんありますが、そんなつぎはぎだらけの日常こそが、平凡そのものの日常を描いたこの映画の良さなのではないかと思うのです。
今回、特に変わったことといえば、父親の事業の失敗で、一時、預けられることになった女の子のエピソードですが、それも、淡々と過ごす懐かしい時代の生活の一部でしか登場しません。そのさりげなさがいいですね。
例によって、昭和の風景は見事なCGで描かれていきます。
特に羽田空港のシーンで今はなきパンアメリカンの飛行機(「2001年宇宙の旅」では地球から宇宙へ飛び立つ宇宙船のマークにも・・)が再現されていたこだわりには頭が下がりました。
今第一線で社会に出ている人々のまさに子供時代を描いているこの作品。ヒットしないわけはないし、そのヒットの原因ももう一度考えてほしいと思います。
クライマックス、芥川賞を逃した茶川に小日向文世が責め立てます。それに立腹した堤真一扮する鈴木が「読みもしないで責めるのは間違っている・・」と怒鳴ります。
そうです。この映画の善し悪しをみもしないでどうこう言うのは間違っていますよ。まず劇場に足を運んでみてください。そして、素直に涙してください。
そんな映画です