くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「椿三十郎」織田裕二版

椿三十郎

何とも、勇気のいる話である。
世界の巨匠黒澤明監督の傑作「椿三十郎」をリメイクしようというのだから。
完璧にオリジナリティあふれる作品に仕上げても七掛けにしか見てくれない。

それでもあえて望んだ角川春樹、そして監督の森田芳光に拍手したい。そして、名優三船敏郎に挑戦した織田裕二にも拍手したい。

そりゃあ、オリジナル作品と比べれば歴然と違う。それは映画の出来不出来というより、いわゆる神様のような存在の、しかもほとんど失敗作のない黒澤明監督の作品なのだから。しかも、映画史に残る数々の名シーンも詰まった作品をリメイクしたのだから。

たしかに、劣る部分、役不足の部分もあるかもしれないが、みんなよく頑張っています。そのがんばりが素直にスクリーンに伝わってきて、本当にいい映画でした。
オリジナルの脚本を元にしているので、展開も一つ一つの場面のシーンもほとんど黒澤作品と変わりません。強いていえばラストシーンの名場面に若干の工夫がみられるくらいでしょうか。

次々と登場する名場面、名セリフが飛び出すと、懐かしい思いで、じーんとくるものもあります。森田芳光監督はオマージュを捧げたのかのかもしれませんね。正直、大幅に自分のスタイルを持ち出すことはできないほどの作品なので、本当に厳しいものだったと思います。でも、このチャレンジ精神に本当に拍手したい気分でした。

そうそう、この今回のリメイク作品のできばえはって??

主演の織田裕二を囲んで演技派の実力俳優を完璧に周りに配置し、これでもかというほどの準備で、その意気込みに本当に恐れ入ったとしかいいようのない熱い映画でした。