いわずと知れた黒澤明監督の三大名作といわれる一本「隠し砦の三悪人」をオリジナルとしたリメイク作品である。
とはいえ、あくまで原案を使い、オリジナル脚本をもとにしているとはいえ、先日の「椿三十郎」とは違って、かなり改編しています。
もともとの展開はほとんど同じではあるものの、オリジナル作品が2時間を越える超大作であるゆえに、展開をスピーディにして2時間弱に仕上げていることから、20分近くの短縮となっている。
いきなり、雪姫の正体を出し、薪の中に隠した金のありかも一気に表に出すことで、物語の本筋を逃避行の場面に絞って、エンターテインメント製を前に押し出した樋口真嗣監督の作り方はそれなりに評価できる。
そして、お供になる松本潤と宮川大輔の役柄をオリジナルほど、低俗に描かず、若干純真な若者に作り直すことで、現代風にし、今の観客の受けをねらっている。
しかしながらそんなこんなよりも、最大の見所は雪姫に扮する長澤まさみのかっこよさだ。
いきなり弓矢で射すえるあたりのシーン、きりっとにらむ彼女の姿は時代劇女優としての彼女の可能性と、上戸彩発見以来の本物の時代劇のできる映画女優の貫禄を見ました。
オリジナル作品の上原美佐の存在感のすごさほどではないにせよ、ところどころに見せる精悍さは思わず惚れ惚れするほど惹かれました。
しかも松本潤が良くがんばっている。オリジナル作品が三船敏郎の存在感でぐいぐいと物語を引っ張っていくのに対し、このリメイク版は長澤まさみと松本潤の掛け合い、宮川大輔のお惚けがなんとも絶妙。
クライマックスからラストシーンまではオリジナルをかなり改編し、それなりの娯楽色豊かな物語にしていますが、きれいにロマンティックに締めくくり、それなりに楽しめた秀作でした