くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「Mr.ブルックス完璧なる殺人鬼」

Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼

なんと今や大俳優のケヴィン・コスナーが殺人鬼を演じた、しかもどちらかといえば小品でB級のサスペンス作品にである。前評判もなく、といって、派手な宣伝もなかったこの「Mr.ブルックス完璧なる殺人鬼」、ほんの最近見た宣伝フィルムのおもしろさと、どこか惹かれる物があったので見に行ったのです。

小品ながら、なかなか良くできた秀作であったかなと思います。
殺人に関するサスペンスもかなりおもしろかったし、次はどういう展開になるのか予測の付かないストーリーに、最後まで飽きることはありませんでした。

原作はなく、オリジナル作品です。原案はあの「スタンド・バイ・ミー」の脚本を書いたブルース・A・エヴァンスです。
丁寧につづられていく物語は、今まで公明正大な役柄しかしたことのないケヴィン・コスナーに対する私たちの先入観も相まって、予測付かず、といって、二重人格的な物語設定のおもしろさにのめり込んでしまう魅力がありました。

ブルックス本人の物語と、その枝葉になるデミ・ムーアの物語、さらにブルックスの娘の物語と、三つのサスペンスが、入り交じりながらの展開です。
正直、この絡み合いはもう一歩物足りなかったですね。わざわざ三つの物語をつづる必要があったのかどうか、ラストシーンに至っても今ひとつでした。

次々と犯罪シーンが組み立てられていって、緻密そのものですが、今ひとつ、傑作と大絶賛できないのはどこにあるのでしょうか?確かにおもしろいのですが、同じB級サスペンスを作ったヒッチコックの作品を思い起こすと、どことなくわかるような気がします。

徹底した映像マジックが物足りないのです。せっかくの複雑なストーリー展開はあと一歩映像にも凝ってほしかったですね。
まぁ、難をいえばという程度ですが、決してそんのなかった作品でした