くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「クライマーズ・ハイ」

kurawan2008-07-19

1985年に起こった大惨事、日航ジャンボ機墜落事故を映画いた横山秀夫原作の映画化である。

歴史の一ページとして、そして、二度と起こしてはいけない悲劇の一ページとして、この作品は見ておかなければいけないと思い、本日出かけた。

第一印象は、非常に好感度の持てるいい映画でした。
現実に起こった悲劇の物語となると、つい、その当事者の人々を中心に、大惨事をクライマックスに描くのが常道かもしれませんが、この作品は、あくまで日航ジャンボ機墜落事故に遭遇した地元地方新聞の記者たちを中心に、惨事からの約10日間を描いていきます。

事故自体を地方新聞社の立場から見る以上に、さらにもう一歩ひいて、その中の記者の視線から、誠実に見つめた物語になっていて、その、まじめさが本当にすばらしく、ご遺族の方々を含め、当時、この事件に遭遇した人々の思いを真摯に受け止めた展開は本当にすばらしかった。

もちろん、新聞の編集室の確執や上司、部下の矛盾、などは描かれていますが、演じるそれぞれの役柄に人々が、それをとにかく生真面目に演じ、そのところどころにこの大惨事に対する哀悼の気持ち画にじみ出ているようで、見ていて、いつの間にか胸が締め付けられていました。

2時間30分弱もアル長尺作品です。もちろん、あの大惨事をここの乗客の視線からグランドホテル形式に描けば、ストレートに観客にメッセージを伝えられるでしょう。しかし、それはあの悲劇の当事者ではない人々には伝わるものの、当事者にはまったくただの面白おかしい映画作品としてしか伝わらないでしょう。

それを、地方新聞の、さらに下っ端の記者たちの視線から誠実に描くことで、この悲劇をまじめに見つめる目を私たちに提示してくれたのではないでしょうか?

もちろん映画作品としても、短いカットの積み重ねや、すっとひいいて、手持ちカメラ風に被写体を捕らえたかと思えば、ぐっとよるという演出は登場人物たちの心を描く上では絶妙の手腕であったと思うし、ただのノンフィクション映画にはなっていないところもすばらしいのですが、それ以前に、本当にいい映画なんです。見ておいてほしいですね。