楳図かずお原作の伝説の名作漫画「おろち」
今まで映画化が難しいといわれていたらしい作品がとうとう劇場に登場した。
かなりの期待はしていたが、監督があまり名のあるひとでもない中で不安もかなりあった。
第一印象は、なんともテンポに載れない作品でした。
谷村美月ちゃんがなんともかわいらしい美少女として、おろちを演じていますが、冒頭のナレーションの場面から、楳図かずおワールド独特のどろどろ感が伝わってこないのです。
物語は戦後すぐから始まるので、もう少しレトロな、そして横溝作品にみられるような古い因習の中にある不気味さが出ていないといけないのですが、それも妙にさっぱりとおしゃれで、清潔。
やがて本編に物語が進んでいきますが、いまいち、のめりこむような灰テンポが見いだせなくて、姉妹の愛憎劇も昼ドラの方がもっと迫力があるのではないかと思わせてくれます。
木村佳乃の存在も中越典子の存在も、そして、肝心のおろちである谷村美月もほぼ同じ線上に並んでいて、いまいちそれぞれのキャラクターの個性がくっきり見えてこないために、物語にはりが出てきません。
そんなわけで、もうちょと、斬新な映像が見られるのかと期待しましたが期待しすぎでかなわずというところでした。
楳図かずおワールドの映画化がいかに、難しいかそしてあの人がいかに異才であったかを証明する結果になった作品でした