くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「イーグル・アイ」

イーグル・アイ

スピルバーグ総指揮のサスペンスアクション大作「イーグル・アイ」を見てきました。

おもしろいことはある程度期待していたので、期待通りに思いっきり楽しんで見終わりました。

冒頭から一気に物語の本編に引き込んでくれます。
とある国で捜索中のテロの首謀者らしき人物を発見。とはいえ、完全に把握できない中でコンピューターによる分析が進みます。
空爆攻撃するか否か、その判断で苦しむ中コンピューターは中止の命令。しかし。大統領は・・・

と、一気にタイトルバックから物語は本編へ。つかみは見事。そして、宣伝フィルムにも再三登場する主人公の携帯への謎のメッセージ。
あとはもう、ノンストップアクションの連続であれよあれよと物語が進んでいきます。
そこに謎の声が響き、も一人の脇役の女性が登場。

ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」を思わせるような広大な農園でのやりとりの場面。スピルバーグの「マイノリティリポート」を思わせる逃走シーン。そして、「フレンチコネクション」を思わせるカーアクション。どれもこれもがめまぐるしいほどに過去の名作を踏襲しながら、ハイペースのストーリーが展開。

その背後にある謎の声の正体とは・・主人公がターゲットにされている理由とは・・などなどさまざまな謎解きも絡んできます。

とにかくおもしろい。にもかかわらず、サスペンス映画の傑作とは言い難い。
冒頭のつかみのシーンからあとは派手なアクションがほぼ平坦に展開していく。その抑揚のないひたすら突っ走る脚本はなんだろう。どこか物足りなさを感じる正体はなんだろう。

クライマックスに見せる「知りすぎていた男」へのオマージュ。「2001年宇宙の旅」を思わせる物語設定。声の会話を遮断したのを読唇でコンピューターが解読するさわり。「地球爆破作戦」を思わせる物語の基本線。そのいずれもが、それ以上になっていない。

採用した名作のそれぞれは一本の映画としての抜群のリズムを持っていた。故に今なお名作と呼べる。ところがこの「イーグル・アイ」にそれがない。
このD・J・カルーソー監督の前作「ディスタービア」にもそれが見られた。模倣なら模倣でいい。しかし、模写ではないなら自分なりのリズムを作品の中に作り出してほしい。ブライアン・デ・パルマ監督はヒッチコックを模倣しながら自分独特のリズムを作品の中に織り込んでいきました。そこが違う。

おもしろい内容であるのにいまいち秀作たりえないのが本当にもったいない大作でした
でもおもしろいですよ・・・・・!