くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「地球が静止する日」

地球が静止する日

1951年度ロバート・ワイズ監督のSF作品の名作「地球の静止する日」のリメイク作品である。
「の」と「が」の違いで一応区別しているものの、物語の基本は同じ。

さてさて、超大作として登場した今回のリメイク版、なかなかどうして、素晴らしい映像カメラワークと演出にうなってしまいました
監督は「エミリー・ローズ」で独特のホラードキュメンタリーの世界を描いたスコット・デリクソン

超望遠撮影によるスピードシーンを撮るかと思えば、細かくカットを割る、さらにはスローモーション、手持ちカメラと、可能な限りの演出手法を、これでもかと駆使し、物語に見事なテンポを生み出していく。

そもそも、物語が地味な上に、平坦なストーリー展開ゆえに、オリジナル版を見たときは正直、まだまだ少年であったとはいえ、退屈であったのを覚えている。
ゴートと呼ばれる無敵のロボットも地味なデザインで、今回もそれをそのまま踏襲しているために、下手をすると、超大作が、超凡策になるところなのだ

ところが、前述の見事な演出はそんな物語をもののみごとに現代の超大作SFとして完成し、オリジナル作品のテーマを描ききると共に、一級品の映画作品として完成させている。

とにかくおもしろい。クラトゥを演じるキアヌ・リーブスのクールな訪問者が、さりげなく人間の感情に心を動かされていくクライマックスの下りは、わざとらしくもなく、ごく自然にしかも、わずかなカットで見せてくれる。
しかもこの心の変化がこの物語のラストを作り出すのだから、最も重要な場面なのだ。
このクライマックスのわずかな演出がこの作品の成功をうみだしたものだと思う。

もちろん、特撮も見事だし、スケールの大きさも十分感じられ超大作の貫禄も十分であるが、そんな細かな演出にも力を抜かず、特撮頼みにならなかったことがこの作品の質の高さをうみだしたものでしょうね。良かったです