くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「チェ28歳の革命」「ヘルボーイ ゴールデンアーミー」

チェ28歳の革命

キューバの伝説的革命の英雄チェ・ゲバラを描いた二部作のうちの前半を見てきました。
正直、あまり親しみのない歴史の一ページなので、退屈にならないかと不安でしたが、物語が進むにつれて、一人の革命家の生き様に少しずつ引き込まれていきました。

国連でのスピーチ場面をモノクロームで挿入し、キューバ革命の時期へさかのぼった場面はカラーで撮影するという演出手法と、ドキュメンタリータッチのカメラワークで一人の人間を追っていきます。

誰もが皆迷彩服のような軍服を着ている上に、帽子、銃などで似通った紛争をしているので、油断をすると登場人物を見失いかねない画面が続くのですが、さすがにチェ・ゲバラを演じるベニチオ・デル・トロの存在感は抜群で、ジャングルの藪の中での行軍でさえも彼の存在がくっきりとうきあがります。

ときおり、差し挟まれる国連でのスピーチやその前後のエピソードが革命家としてのチェ・ゲバラの考え方を少しずつ私たちに伝えられてきて、その歴史の中での彼の存在の意味、そして、歴史の一ページの中でのキューバ革命の位置が見えてくるのはすごいですね。

スティーブン・ソダーバーグという監督は時として凡作を生み出すこともあるのですが、今回の二部作の前半についてはそんな不安は払拭されます。
今はなきソ連、そしてその社会主義の意味、米ソの対立、アメリカの世界に君臨せんとする威圧感などの史実がこのチェ・ゲバラの行動の中でじっくりと伝わってきます。

首都ハバナまであと290キロあまりというところで前半は終わりますが、後半を早くみたいと思わせるほどの魅力ある映画でした


さて、もう一本見てきたんです。
ブレイド2」をテレビで見事な剣さばきとアクションにすっかりとりこになり、「パンズラビリンス」でそのファンタジックな映像に魅了されてしまったギレルモ・デル・トロ監督作品「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー」を見てきました。

本当にすごいファンタジーで、まるで剣と魔法の物語のようでもあり、SFのようでもあり、もちろんアメコミの実写版ですが、モダンな音楽の挿入やら、コミカルな台詞回しの応酬やら、ポップな映像の洪水やら、もう目を見張ったままラストシーンを迎えたという感じでした。

日本のアニメや侍に傾倒する監督だけあってか森の妖精の怪物はまるで「もののけ姫」のダイダラボッチそのままだし、ゴールデンアーミーが復活する場面は「風の谷のナウシカ」の巨神兵の如し、しかも原作とは違った風貌になっているヘルボーイの頭はちょんまげとなんとも、不思議な感覚の映像芸術です。

さらにクライマックスの、石の門番が立ち上がる場面はまるでハリーポッターを思わせるし、敵の王子の剣さばきはまさに「ブレイド2」のアクションそのままだし。自身の作品を効果的に挿入したりと見所満載でした。
まぁ書き出すときりがないほどに、これがファンタジーと言わしめる秀作で、第一作「ヘルボーイ」や「ブレイド2」を劇場で見ていないのが悔やまれる監督の作品でした。