くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「バンク・ジョブ」

バンク・ジョブ

事実は小説よりも奇なりとはよく言った物である。
この映画「バンク・ジョブ」はイギリスで実際にあった事件を元にした脚本から作られている。

といっても、1970年代の事件であり、長い間封印されていた事件を当時の関係者からの証言を元に脚本化した物であるから、当然完璧な物語ではないと思うが、99%が事実であるという当局からの情報もあって、物語はかなり真実に近い。

ただ、映像になった時点で、すべての事実はフィクションになる。
スクリーンの中の世界は現実とは全く違った映像芸術の世界なのです。

冒頭から本編の話に進んだあとは観客の目をスクリーンからひとときも目を離せないようにテンションがあがったままで物語が進んでいきます。
といっても、ストーリー展開が平坦なのではなく、次々と絡んでくる関係者達の思惑やら、犯人達の息づかいが聞こえるほどのリアリティやらに圧倒されるのです。

もちろん、ドキュメンタリーではないので、事実を丁寧におっているわけではなく、細かなカットをつないでシーンを盛り上げるかと思えば、緩やかなバーのシーンなどを挿入してサスペンスを盛り上げてくる。この緩急のタイミングが実に見事である。
これは、ひとえに脚本のうまさと演出の手腕が見事に溶け合った結果に寄ることでしょう。

次々とストーリー展開が進んでいき、物語は非常に複雑な争奪戦と駆け引きの物語を迎えてラストへつながっていきます。
さすがに、このラストの駆け引きは果たして現実であるのかどうかは疑わしいもののこれもすべてが事実なら、何とも頭の切れる犯人である。

そして、ラスト、すべてが収まったあとはまるで何事もなかったかのように封印されてしまい、40年近くたって、とうとう映画になってしまった。
実に秀作と呼ぶにふさわしい作品でした