くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ワルキューレ」

ワルキューレ

ヒトラー暗殺という歴史的な史実に基づく、サスペンス映画「ワルキューレ

物語の結末は歴史史実なので、わかっているとはいえスリリングな展開に、まるでフィkションのような緊迫感があふれていた秀作でした。
冒頭から、最初の見せ場である暗殺シーンまで、緻密な構成と、濃密な脚本で、一時も目を離せないシーンが続きます。
ブライアン・シンガー監督の演出は、非常にオーソドックスですが、カメラをややローアングルから捕らえ、まるでこれから怒ることを覗き込むような錯覚まで呼び起こさせます。

登場人物が、歴史上の実在者ゆえ、テロップで、将軍名などが挿入されているのは非常にわかりやすく、一部の人物しか知らない私たちも物語の混乱を起こさずに見ることができました。
つまり、余計な紹介描写をぎりぎりまでカットし、展開する歴史の一ページを一つ一つ描こうとしたために、緊迫するシーンのみを残したせいでしょう。

さて、中盤から後半、暗殺シーンのあと、いざ実行に移さんとするとしり込みしてしまう周りの人物たちの微妙な心理変化、さらに、主人公シュタウフェンベルクトム・クルーズ)の一途に貫こうとする実行力と、あせり、それぞれの人物たちの人物像の描き方もしっかりしていて、見ていて、リアル間が増すと共に、さらに、その重厚な物語展開に息を呑んでしまいます。

スペクタクルな見せ場は登場しませんが、全編を通しての目を離せない面白さは、一級のサスペンスエンターテインメントとしても十分に通用するものであり、背景にある歴史の真実を考えると、いま私たちが見ておかないといけない物語でもあるという二面性を持った秀作であったと思います