くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「レッドクリフ Part? ―未来への最終決戦―」

レッドクリフ PartⅡ ―未来への最終決

ジョン・ウー監督が満を期して製作した超大作「レッド・クリフ」二部作
いよいよ後半部分を本日、期待の中で見てきました

圧倒的な物量と圧倒的な特撮シーンの数々、もうスクリーンいっぱいに展開する迫力ある戦闘シーンはまさに映画の醍醐味、エンターテインメントとはこれだといわんばかりにのめりこんでしまいます。
ただ、Part1と比べると、かなり物語が散漫になったことは否めませんね。前述したように、スクリーンに所狭しと繰り広げられる見所満載のシーンは見事ですが、「三国志」の読みどころ、見所のひとつである知略戦の面白さが、今ひとつ物足りないように思いました。

つまり、この作品の中心のなかに小喬曹操の物語や孫尚香(ヴィッキーチャオ)の淡い恋物語を絡めさせたために、知略戦の部分の脚本がやや弱められてしまったのです。もちろん、この女性たちの物語を挿入することで、ただひたすら戦闘シーンに終始してしまいそうな後半にふくらみを持たせていますし、殺戮場面に戦争のむなしさを感じる女性たちの視線などを挿入し、後半を作るに当たっての監督の想いが垣間見えて、ただの大作ではないという予感は伝わることは確かですが、その反面Part1で見せた、画面作りへの工夫がやや散漫になってしまいましたね。

関羽張飛趙雲らの豪傑の描き方も、今回はほとんど活躍の場を与えず、ひたすら集団戦の物語となっています。
たしかに、本来の歴史書としての「三国志」そして、その千年近く後に描かれた娯楽小説としての「三国志演義」それぞれを勘案し、映画にふさわしいフィクションも交えて、エンターテインメントに仕上げるのはあの壮大で不完全な物語からは至難の業だったでしょう。
とはいってもジョン・ウーらしい映像芸術の世界がPart1に比べて希薄になったのはもったいない限りだと思います

龍のような雲が現れるシーンなどはなかなか見事だと思ったのですが、ラストシーンのジョン・ウー監督お得意のはらはらどきどきの緊迫シーンも「M:I=2」ほど見事なものではないし「フェイスオフ」ほどの衝撃もありませんでした。ジョン・ウー芸術を楽しみにしているものとしてはやや不満足かもしれませんね

とはいっても、次々と展開される火器のオンパレード、寄せては消す怒涛のような戦闘シーン、大画面の魅力が寸分の無駄なく繰り広げられるスペクタクルを見ることができただけで、大満足な一本だと思います。