ガス・ヴァン・サント監督が1970年代に実在した政治家ハーヴェイ・ミルクの半生を描いた話題作。
同性愛がまだまだ社会で認められず、さまざまな境遇の中で排除されていいた時代、孤高の戦いを挑んで、排除されんとする公民権を守り、社会に同性愛者の存在を正当に認めさせるためにささげた一人の人物の物語。
例によって、ガス・ヴァン・サント監督ならではのドキュメンタリーたちの映像を組み込みながら、リアリティあふれる展開を見せていく演出は、傑作「エレファント」を彷彿とさせるものがあります。
時間の交錯、空間の交錯を組み合わせながら、当時の社会世相、そして映画のテーマをぐいぐいと訴えかけてくる構成の立て方は見事というほかありません。
とはいえ、本来、私は映画の物語というものにあまりこだわらずに、単純に映像を楽しむのがすきなのですが、どうも同性愛、ゲイというのはいまひとつ入り込めず、拒否反応してしまいます
大の大人が濃厚なキスをすると思わず目を背けてしまう。
同性愛を批判するというのは、現代ではいけないことかもしれませんが、私は受け入れられない。そのためにあの名作「ブロークバックマウンテン」同様、この「ミルク」もその偏見が出てしまって、素直に感動できなかったのは、とっと残念。
そんなこんなもありますが、さすがショーン・ペンはすばらしい演技力である。ゲイのなよっとした雰囲気がさりげなく漂ってくるから、頭が下がります。
いい映画でした。ただ個人的に好みではない。