くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「鴨川ホルモー」

鴨川ホルモー

鹿男あをによし」の万城目学原作、といえば思い切りばかばかしいけど、どこか惹かれる物語を書くのでファンの多い人ですが、その原作がとうとう映画になった。
鴨川ホルモー

とにかく、常識とか、リアリティとか、隠されたテーマとか、そんなわずらわしいものなんか吹っ飛ばして、思いっきりばかばかしい物語を楽しもうと出かける映画でした
何をおいても、なんだなんだと物語を追ううちにいつに間にか終わってしまったという感じ。ただひたすらに楽しい。そして、気持ちが晴れ晴れしてしまう。

物語は「鹿男・・」の奈良とはどこか似通ってこんどは京都。京都大学京都産業大学立命館大学龍谷大学と関西人にはおなじみの学校の学生たちが繰り広げる、というか繰り広げてきた意味不明のバトル戦の物語。
なぜか、安倍清明式神よろしく、団子のような妙な生き物?をあやつって、これまた奇妙な儀式と、奇妙な振り付けで,いわゆるコンピューターゲームをやるような戦いをする。なぜか、エネルギーにレーズンを食べる式神、いろいろななぜ?が全然説明もないのですが、それがそれで楽しいから不思議。

レナウン娘」の曲に乗せて引継ぎの儀式があったり、大学生ならではの裸踊りやらコンパやらこのあたりのノリが今なお残っているのかどうか、妙に自分の学生時代がかぶさって、古き良き青春映画のごとき懐かしさも覚えてみてしまう。

たわいのない物語で、「鹿男・・」のほうが内容的には複雑だった印象があるが、単純な展開がなんともばかばかしい中で楽しんでしまうあたり、ほほえましいほどに好感度抜群の映画でした。
特筆すべきは栗山千明が拍手したくなるほどに演技がうまいことに脱帽。ちょっと不器用なオタク少女の役だが、それでいて芯が強く、それでいて純な乙女心を見事に演じきっている。すっかり栗山千明のファンになってしまいました。

この映画に、作品のできばえのどうのこうのはありません。しかしながら、万城目学さんの原作のよさを見事に映像に再現したスタッフの力の入れよう、そしてこの原作にほれ込んでいるとしか思えないキャストの一生懸命の演技に拍手できる、見たあと気持ちのいい映画でした