韓国で大ヒット、レオナルド・ディカプリオがリメイク権を取得したという話題作である。
韓国映画はある意味まだまだ未完成で、稚拙であるところもあって最近は控えていましたが、見た方の意見もなかなかのものでもあるので、見にいきました。
非常に短いカットの連続、そして、細かいシーンの展開と、それほどの個性ではないものの面白く見せてくれました。
いつの間にか、画面を食い入るように見ている自分に気がつくのです。
冒頭、デリバリーヘルスの女性がお客さんととある場所へ消えていく。一方でかつて刑事で今はデリヘルの元締めをしている主人公ジュンホが、派遣した女性が消えたことで、悔しい思いをしている場面へとつづきます。ここまである程度の人物描写を済ませ、いよいよ本編へ。
ここからはまさに、サスペンスの世界が続き、果たして自分の派遣した女性がどんな人間によって売られたか(と最初は疑うのですが)という犯人探しの面白さを見せてくれます。
しかし、この犯人、実は異常殺人者で、次に犠牲になる女性を求めるところから、この映画の面白さは一気に増幅されてくる。
物語の中心になる2番目に登場するデリバリーヘルスの女性ミジン、実は幼い女の子を養うためにこの仕事をしている。そんな彼女が、殺人気の餌食になろうとする。
行方をくらました彼女を探し始める主人公の前に、次々と、真相が見えてくるあたりは息つく暇のない圧巻ですね。
そんな物語の背景に見え隠れするのが韓国の警察事情。
一方で真犯人の居場所探しの謎解き、そして、ミジンの娘と行動を共にし始める主人公ジュンホの心の変化を交えて、映画は少しずつ、深みのある展開へ進んでいきます。
「殺人の追憶」でも描かれた、あまりにもお粗末で、権力争いでほとんど機能していないほどな捜査状況。この国柄と物語の真犯人の扱われ方、そして、クライマックスのあまりにも、残虐なそして悲しい大団円。
面白さを通り越して、目を背けたくなるようなエンディングは、ひとつ間違うと、別の形での見事なサスペンス映画の傑作になるのではないかという予感さえも見えますね。
「オールドボーイ」でもみられましたが、どうして韓国では、かなづちを多用するのでしょうか?そのあたりの感覚は理解しづらいものがありますが、あれよあれよというサスペンスフルな展開と、複雑に構成されつくされた見事な脚本は、この映画をそれなりに一流の仲間入りさせてもいいかもしれません。
ただ、今ひとつ、これといったオリジナリティが見えないのは、初監督のナ・ホンジン監督の未熟さなのか、それともまだまだ成熟していない韓国映画界の現状なのか。
あのどぎつい残酷描写を嫌う人は、おそらくきらいな映画になるかもしれませんが、映画としては、非常に面白かった。