くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「余命1ヶ月の花嫁」

余命1ヶ月の花嫁

平凡なお涙頂戴作品ではないという感想が圧倒的に多い。しかも、超ロングラン。当初は見る作品のリストにしていなかったので、かなり迷った末、とうとう最後の週になって見に行きました。

なぜか心に残る二時間のドラマでした。評判どおり、単純な泣かせる映画ではありません。その理由はって考えると、スタッフもキャストも純粋にこの長島千恵さんという一人の女性の人生に共感し、一生懸命に作り上げたせいではないでしょうか。だからこそ、展開の中にまったく飾られた無駄がありません。もちろん、実話でもあり、先にテレビドキュメンタリーになって放映もされているので、そうフィクションをまじえることはできないのかもしれませんが、本当に真っ直ぐに、千恵さんの人生に向き合って作っているのです。

だから、映画が始まって間もなくするともう一人の女性の生き方にのめりこんでしまって、画面から目を離せません。そこには、大げさな前向きな女性の姿ではなく、ただ現実の中で、ただ今日の今の瞬間を楽しもうとするピュアな女性の恋と人生があるのです。

演じる瑛太榮倉奈々のひたむきさも好感度抜群に伝わってくるし、監督の廣木隆一の演出も素直なリズムで物語をつむいでいきます。

もう映画作品に対する理屈なんかよりも、なぜか心の奥底に染み渡る感動、そして、なぜか手元において何度も見直したくなる物語に触れた気がして、なんともいえない涙が最後に流れてきました。

私はテレビのドキュメンタリーも見たわけではありません。でも、この映画を見れば、言葉にできない心を打つものがきっと誰の胸にも残るのではないかと思います。素直な、そして純粋な人間としての命の美しさをもう一度思い起こしてみてほしいと思います