くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「サンシャイン・クリーニング」

サンシャイン・クリーニング

昨日に引き続き、アメリカで単館公開から口コミで拡大公開されたという「サンシャイン・クリーニング」を見る。
大好きな「リトル・ミス・サンシャイン」のスタッフの一部とキャストが集まり制作した作品であり、非常に小味のきいた秀作でした。

題名が似ているのはたまたまということで、あくまで今回の作品もオリジナルストーリーである。

シングルマザーで必死で生きる主人公ローズはふとしたきっかけで事件のあとの血で汚れた部屋のクリーニングの仕事をすることになるというのが話の中心である。
しかしながら、その周りの物語は、果たせぬ恋があり、子供の教育問題があり、姉妹の過去があり、母の自殺の想い出もある。さらには「リトル・ミス・サンシャイン」でも好演したアラン・アーキン扮する父親のだめぶりも登場、まさに枝葉がしっかりと茂った高品質のコミカルムービーである。

これといった真のとおった物語にテーマをぶち込んでいくという展開ではなくて、さりげなくはめ込まれるさまざまなエピソードがなんとも作品をひとつの完成品にしてしまうような魅力があり、これこそミニシアター映画の醍醐味のような感動を味わうことができます。

リトル・ミス・サンシャイン」ほど完成度は高くありません。でもでも、なぜかそれぞれの登場人物が大好きです。

高校時代に憧れ、自分以外の女性を選んだにもかかわらずその男性と不倫をつづける主人公、いつも姉に面倒をかけながらも、反発と恋慕が混じりあて微妙に仲がよい妹ノラ、そして、そんな姉妹の間で育ちながら自らの個性で生きていくしっかり者の息子オスカーと、なんとか一攫千金でみんなを楽にしてやりたいと商売をしては失敗する無邪気な父、そしてクリーニングの店で知り合った片手のない好青年(おじさん?)、それぞれが本当にきらいになれない魅力があるんです。

日常ありそうな出来事が、ちょっと道をそれたためにドラマになったような不思議な魅力のある秀作、こんな映画ミニシアターでないとお目にかかれませんね。でも本当にいい映画でした