壮大な物語の最終章。原作を知る者としてはどういった結末を用意したのか、そしてどういう締めくくりを考えたのかが最大のポイントでした。が、正直、何回ため息をついたか知れない。
前半三分の一を過ぎると、あとクライマックスまでが、ひたすら、今までの謎解きの一つ一つを説明していく展開になる。それがかなりくどい。そこまでしなくてもと思う反面、第一章、第二章と来た物語なのですべてに説明が要るのもうなづける。しかし、もう少し見せ方があるだろう。
まだかまだかと思わせて、ようやくとおもえば、まだある。駄目押しはクライマックスのコンサートシーンに絡めての大スペクタクルであるが、このあたりは第一章、第二章のクライマックスのほうが派手だし、ビジュアル的にも、サスペンス的にも面白いから、余計にため息である。
映画化不可能と思われていた原作で、やはり不可能だったのかと思わざるを得ない。原作の味を見せるより、オールスターの豪華なキャストたちが、わいわいがやがやと遊んだ映画という印象でした。
エンディングが終わってからの駄目押しの約15分は素晴らしいのですが、あまりにも2時間40分あまりの長尺であそこまで間延びしてしまうと、うんざりに近いのである。
もちろん、この作品がよかったと言う人もいるかもしれない。原作を読んでいるために余計な先入観が入ったといわれるかもしれないが、どう考えてもしんどいのだ。
堤幸彦ならではの演出も見られる。しかしそれぞれのキャストがぜんぜん生きていない。この辺は第一章からすでにちょっと不安材料ではあったが、三部作ゆえ、最後にはまとまってくるかと思っていたのですが、結局オールスターのわいわい映画に終始した。
クライマックスになって、あんな俳優さん、こんな俳優さんが続々とスクリーンに登場する。思わずびっくりしながら、どれもこれも出そうとするから、完全にばら撒き状態である。
三部作の超大作として評価はしても、作品としてのまとまりは最悪でした。残念ですね。