くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ホースメン」

ホースメン

チャン・ツィイーデニス・クエイドという組み合わせのサスペンス映画ということで、チャン・ツィイーのファンでもある私は興味津々、もしかして掘り出し物かもと思って出かけた。

冒頭からいきなりスプラッター映画に近いようなグロテスクなシーンで思わず目をそむけ、そのままつづくわけのわからない散漫なシーンの連続と猟奇殺人のシーンに目をそむけ、それでもひたすらチャン・ツィイーの登場を待った。

そしてようやく登場するもなんともさりげない登場シーン。しかも三姉妹の長女の設定で「初恋のきた道」の頃のようなお下げのかなりかわいらしい演出がなされているので、はて、チャン・ツィイーっていくつだっけと思ったら確かすでに31歳だったような。で、アメリカ映画お得意の東洋人蔑視が明らかになった。

いわゆる黙示録の四騎士をなぞっていく猟奇殺人の映画である。しかしながらなんとも人物描写が適当で、しかもそれぞれの登場人物がしっかりと描けていない上に念入りな関連付けがなされていないために、シーンごとがばらばら。カットとカットの連続性がまったくなくて、一本の作品にまとまらない。もちろん、ストーリーのテーマは一見ばらばらであるかのような展開が実はひとつの訴えたいことへとつながるという組み立てなので、途中ばらばらでもいいのかもしれないが、それでも、ちゃんとまとめることを意識してそれぞれのエピソードを練りこんでいかないといけない。

いったい、主人公プレスリン刑事(デニス・クエイド)の妻はどうなんだ、最初の犠牲者になった母親の娘三人はどうなのだ?そして中途半端に問う序する変態の父親もまったく存在感に欠ける。天才的な医療技術のあるホモ青年の登場もどうでもいいほどに突然画面に出てきて何がなにやらわからないままに猟奇殺人のシーンへ続く。

どのシーンをとっても行き当たりばったりで、見ていられない。脚本の不出来、さらに監督の工夫のない演出に閉口した。

この作品の売りはハンニバルの再来のような殺人鬼としてチャン・ツィイーを起用したところではなかったか?結局ほんのところどころに彼女は出てくるものの、正直、出てこなかったところで何の支障もない。
そしてラストのどんでん返し?なんやこれというほどインパクトがない。それにプレスリン刑事の息子のうちの弟ショーンは結局、おまけみたいな存在としてしか描けていない。

ここまで支離滅裂だと、いくら何でもと思ってしまう。せめてチャン・ツィイーがもう少し活躍していればそれなりに楽しめたのですが、なんともひどい映画でした。