くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ブラック会社に勤めているんだが・・」「曲がれ!スプーン

ブラック会社に勤めているんdナが僕は

ブラック会社に勤めているんだが、僕はもう限界かもしれない」
小池徹平は俳優としてはあまり好きではないのですが、「キサラギ」の佐藤祐市監督作品なので期待して見に行きました。

実話を基にしているといいますが、まぁ結局⒉チャンネルのスレを基にしているオリジナルに近いストーリーです。
キサラギ」同様、軽妙な導入部分から、それぞれが個性的な配役陣と登場人物。やたら「ブァカ!!」と連発するリーダーを中心にドタバタ的なコミカルなしかも今風の物語がはじまります。

しかし、「キサラギ」で見たほどの組み立てのうまさがちょっと乏しいのは寂しい限りでした。盛り上がりの部分がややずれているようで、そのシーンの長さも妙にアンバランスで、せっかくの後半三分の一の感動的な盛り上がりが今ひとつなのは本当に残念。

とはいえ、ところどころで暴走するところを田辺誠一扮する藤田の登場が物語を微妙に修正し、ドタバタになりきらないコメディタッチを残すのは見事です。ただ、それぞれの登場人物の背景がもうちょっと見えても良かったのではないでしょうか?このあたり「キサラギ」では種明かしのように徐々に表に出てくるつくりは見事でしたが、今回は種明かしが、ちょっと不完全燃焼で結局わかりきらないでエンディングを迎えたのは物足りませんね。

楽しいし、泣ける映画でしたが、やはり「キサラギ」のできのよさが強すぎたのと小池徹平に感情移入できなかったのは個人的な感想でしょうか。


曲がれ!スプーン
本広克行監督は、この手の小品を作らせると抜群に面白い。今回も「サマータイムマシンブルース」のヨーロッパ企画の作品ですが、なんとも軽妙で夢あふれるほほえましいいい映画でした。

主人公の米(長澤まさみ)が子供の頃、UFOを目撃、超能力に夢を見て、サンタクロースを信じていた何もかもが現実だった頃の姿が扉を開くたびに現れるというまるで絵本を開くような導入部から始まります。
そして大人になった彼女は、幼い頃の夢を忘れることなく、まがい物の超能力番組を必死でスタッフとして参加している。

そんな中、超能力者の取材を任された彼女は地方へ・・そしてタイトルがつづくのですが、なんとも微笑ましい。
でっかいかばんを引きずりながら、日本中をまわる。しかしそこで出会うのはどれもニセモノばかり。でも本物はきっといる事を信じ、そしていて欲しいと願って次の街次の街と行脚していきます。

場所は変わって、ここはちんけながら本物の超能力者が集う喫茶店。派手なことはできないものの、本物の超能力者たちが仲間内で包み隠さず談話している。
時はクリスマスイブ。そんなところへふとしたことで立ち寄ることになる米。

ここで初めて二つの物語が一つになりますが、これが最後の最後まで、お互いがお互いを知らないまま別れるあたりのこのストーリーのおしゃれ度は抜群ですね。
いくつになっても夢は忘れたくない。いや忘れるべきではない。そんな想いがしんみりと胸に突き刺さってくるような、すごくチャーミングな映画でした。