くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アバター」

アバター

素晴らしい映像体験、久しぶりの娯楽エンターテインメントを見ました。本当に楽しかった。しかも最新技術の素晴らしさに拍手したくなりました。

今年は3D映画大流行、そして今年最後のトリを飾って登場したのがジェームズ・キャメロン監督が12年の長編映画製作のブランクをあけて、監督したこの「アバター」である。
すべてが極秘に進められ、あらゆる最新技術を駆使した3D映画は、おそらく、頂点と呼ぶにふさわしいできばえになっていました。
それは単にテクノロジーが素晴らしかったのではなく、いまだ衰えないストーリーテラーとしてのジェームズ・キャメロンの一流の才能と、ビジュアル面でのたぐいまれな感覚により完成されたものです。

確かに、3D技術は素晴らしいですが、なんといっても映像が美しい。それはデジタル映像の美しさではなく、画面に配置されたもろもろの物体の構図の美しさによるものです。「タイタニック」でもその映像美学の素晴らしさは堪能しましたが、今回もあれに引けをとりません。どのシーンをとってもまるでポスターにしても惜しくないほどに完成されています。今活躍中の監督で、ここまで芸術的な画面を創造できる人はいないと思います。

さらにストーリーの展開が実に巧妙で、娯楽性に富んでいる。

冒頭で物語背景をさらりと紹介し、いきなり本題のアバターへのリンクシーンへ移る。そして惑星パンドラの紹介と、その中で次第に主人公とパンドラの住民、特にナヴィの娘ネイティリとの心のふれあいを描きながら、物語は中盤のナヴィとスカイピープル、つまり人類とのバトルへと進んでいく。その背景にあるパンドラに存在する希少資源による利潤追求のテーマはあまり深く掘り下げず、エンターテインメントに徹したストーリー展開を見せます。

そしてそのバトルシーンは最大に見せ場ながら、パンドラにある自然と生物の共存という環境テーマにもさりげなく触れる。

そんなみごとなCG映像で見せるバトルシーンから、クライマックスの対決シーンそしてエンディングと絶妙の長さで構成された脚本の組み立てはジェームズ・キャメロンならではの力量発揮でしょうね。もちろんそうしたシーンのすべてで3Dテクノロジーを駆使した美しい立体映像は目を見張ります。
エピローグも見事で、最後の最後まで緻密に練られた展開をし、単に3Dを売り物にしただけの作品になっていないところが素晴らしい。

と、べたほめですが、ストーリーは完全に「風の谷のナウシカ」ですし、ビジュアルもまさにナウシカそのもので、「あれ?見たことがある・・」みたいな印象もなくはありませんね。それにラストの対決シーンは「エイリアン2」でしたが、そんなことは二の次にしても全体に見事な映画でした。