眠狂四郎シリーズをスクリーンで見るのは初めてである。
テレビでは何度か見た覚えがあるけれども、それも子供の頃でほとんど覚えていない。したがって本日は実質の眠狂四郎初体験である
映画としては完全な勧善懲悪の娯楽時代劇でした。特に際立った映像もないし、練りこまれた脚本の味も見当たりません。まさにテレビの時代劇を見ているかのごとくのできばえです。DEMOこれが当時よかったのでしょう。判りやすい内容と、ヒーローがヒーローたりえる展開。ピンチの後にクライマックスを迎えるわかりきったないようにみんなが拍手するのです。
突然、夕立になったり、途中で主要な悪役として登場しながらいつの間にか消えてしまったり。挿入された見せ場がその場限りの見せ場で物語のどこにもそのシーンが生きていないという行き当たりばったりのストーリー展開は、作れば売れた時代の一種の映画黄金期のしるしかもしれませんね。
そんなわけで、市川雷蔵作品の中にも一級品が見受けられるのを考えると映画としては凡作と呼べるものでしょう。DEMOあれだけのシリーズ作品が登場し、市川雷蔵といえば眠狂四郎と言わしめるほどの代表作になったのは明らかに市川雷蔵自身のカリスマ性がこのヒーローの姿に見事にマッチした結果であろうと思います。