くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

原作者のスティーグ・ラーソンが出版前に急死、その後出版された原作は一気に大ベストセラーになったサスペンスミステリー三部作の一本目というふれこみで公開されたこの映画、原作の話題性がなければおそらく公開はしんどかったかもしれないという印象の作品でした。いわゆる、アメリカ映画の展開になれすぎたのか、かなりくどい展開に正直辟易したというのが感想です。

物語はいわゆる「天使と悪魔」のたぐいにみられる謎解き映画です。二転三転するミステリーと次々とでてくる隠れた謎をどうやって主人公たちが気づき、解決に導いていくのかが見所。しかし、そもそも三部作の第一作目の映画化なので、登場人物の紹介が非常にくどくどと展開されます。

主人公ミカエルが、自分の書いた記事の裁判で破れ六ヶ月後に禁固刑に服役する判決を受けたところから物語は始まります。そこへ、ある大企業の重鎮から一つの依頼が来ます。かつてかわいがったファミリーの中の一人の少女を殺した犯人を突き止めてほしいというもの。この依頼の元になったのがリスベットという天才ハッカーがミカエルを調査した結果によるものである。

こうして物語は本編へ進みますが、このリスペットといういわゆる入れ墨の女を描くというシーンとミカエルが犯人の謎に迫っていくという下りが前半の三分の一くらい続くが、このあたりのリスペットの描写が何ともしつこいように思う。結局、この二人が結びついて謎を解いていくのがこの映画の見所であるものの、全編ねちねちとストーリー展開していく。

可もなく不可もない、特に突出した演出がみられるわけでもないし、ミステリー性のおもしろさも卓越したものはない。ただ、アメリカ映画的な単調な起承転結の中にある謎解きのどんでん返しの連続という形ではなく、妙にねちねちと謎解きが続くのはヨーロッパ的というのかもしれません。このあたりが斬新といえば斬新ですが、一方で映画としてどうよという思いに駆られることも確かです。

どぎついシーンやグロテスクなショットも所々にみられ、一風変わったミステリー映画かもしれませんが、結局「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」のたぐいの作品であり、続く第二部、第三部へと展開する序章としては成功ではなかったかと思います。