韓国映画はなぜああも悪趣味かつグロテスクなシーンを平気で演出するのだろう。しかし、それでも作品としてはそれなりの水準の作品なのである。本日見たこのヴァンパイア映画もしかりでした。
監督は「オールドボーイ」などのパク・チャヌク、主演は私の好きなソン・ガンホ。
不治の病の治験者となり実験台となった主人公サンヒョンはなぜか血を飲まずにはいられないヴァンパイアと化してしまう。そして、不治の病から奇跡的に回復したという表向きの現実で神のごとくあがめられる神父となります。
人間を殺さずして血を求め、やがて友人の妻テジュと不倫関係になっていくにつれて、どこかが狂い始めるという物語です。
マージャンシーンでみせる独特の長回しのカメラ演出や、不気味なくらいにファンタジックかつシュールなシーンを随所にはめ込んだ映画作りは、並みの作品ではないと納得するものの、人間の感情を逆なでするようなグロテスクなシーンを平気でどんどん映し出すというのは、さすがにおぞましいほどのスプラッター性ですね。そこはなんとも受け入れられないものがあります。
ストーリーやシーンのそれぞれを思い起こしてみるとなんとも切ない、しかも優れた物語として完成しているものの、二時間を越えるほどのストーリーテリングは必要ないと思うし、何度も言いますが、スプラッターに近いシーンの数々をカットして世界水準の感情表現のみ残せば傑作になりえたのではないかと思います。
とはいえ、作品としては中の上でしょう。