くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「レネットとミラベル四つの冒険」「ダレンシャン」

レネットとミラベル四つの冒険

「レネットとミラベル四つの冒険」
今回の映像も赤とブルーを基調に描いた画面が全編にちりばめられている。しかも題字もパステルカラーのような色合いであるところから、この監督の色の個性であるらしい。

物語はパリから田舎にサイクリングに来た主人公ミラベルがそこで一人の女性レネットと出会う。そして一人暮らしているレネットと一晩を過ごし、翌日の夜明けのつかの間の「青い時間」を二人で体験するのが最初のエピソード。濃い真っ青な夜明けの空に背後で聞こえる自然の音、鳥の声などが何とも情緒を醸し出します。
そして、二人でパリで住むことになるのであるが、そこで、身勝手なカフェのボーイとの槍とれで見せる軽妙な会話の応酬で描かれる二つ目のエピソード「カフェのボーイ」

都会っ子丸出しで世渡り上手な彼女と田舎の娘でどこか潔癖なミリとはどこかちぐはぐになるものの、万引きやそれを助けるミrベルの姿とそれを戒めるレネットとのやりとりを描く三つ目のエピソード、そして、最後の「絵の販売」のエピソードまで二人の会話のやり取りを機関銃のような軽妙なリズムでストーリー展開するが、さすがに室内シーンなどは美しい構図と個性的な画面作りが見事であるが、室外シーンはかなり平凡である。

四つのエピソードに沿って展開するウィットにとんだせりふの応酬とそれぞれのエピソードで見せる音、色彩、都会、などが見所かもしれないが、ちょっとやりすぎたところがないでもなく、正直時々うんざりするほどしつこい会話シーンも多々見られた。
とはいえ、独特の会話の応酬の面白さはそれなりにラストまでしっかりとひきつけてくれた。エンディングの唐突さもあれはあれでよかったと思う。


「ダレンシャン」
宣伝フィルムのときからちょっと映像に個性が見られて、期待もしていたが、原作があまり面白くないという印象があってので不安もあった。

出だしのタイトルバックは見事である。一気に観客を引き込み、そのままモダンなアニメ風のタイトルが展開する。ここだけでもこの映画を見た甲斐があったかもしれないが、いかんせん、本編に入って切れがよくない。せっかく、一気に引き込んだにもかかわらず原作のスローテンポに戻ってしまった。
原作の導入部のエピソードをかいつまんでつないでいくのであるが、映画であるから必然的に引き込み、盛り上がり、クライマックスという展開が必要になる。それを無理矢理組み立て、つないだ結果、パッチワークのようになってしまったのだろう。

監督のポール・ワイツも脚本に参加しているブライアン・ヘルゲランドもそれぞれ実力のあるスタッフであるにもかかわらず、ちょっとちぐはぐなのが残念。

独創的な映像演出で時としてわくわくするシーンもあるにはあるのに、今ひとつストーリーとしてまとまっていない。そのためにどうも細切れのカットだらけで、物語に引き込まれていかないのである。原作を大きく改変し、映画としての面白さを作り出そうとした工夫は買うのであるが、今ひとつ流れていかないのは原作にこだわったためであろう過、それとも私が原作にこだわってしまったためであろうか。

原作の第三巻までの映画にしたらしいが、正直、このあたりまでは原作もかなり退屈である。それを劇的な展開にしようとすること自体が難しいのである。しかも演出も今ひとつ乗ってこない、主演の男の子も周りの俳優も、そしてヒロインもいまいち魅力がない。ここが決定的にのめりこめない理由かもしれません。

そんな訳で、ラストまで時間を待つという結果になった。残念。