スウェーデンの新鋭監督モンス・モーリンド、ビョルン・スタインのコンビが描いたスリラーサスペンス。
宣伝フィルムを見たときからちょっと惹かれていたので見に行ったが、なんとも、凡作であった。
つまらない、という言葉がぴったりの作品で、まっすぐに展開するストーリーは何の面白みもない。冒頭で主人公カーラ(ジュリアン・ムーア)の父が娘にある多重人格患者の診察を依頼するいきさつが最後までまったくわからない。
結局、そのために娘が危機に陥り、最愛の孫娘さえ危険にさらすのであるが、何の説明も伏線もない。
孫娘サミーと仲のよい叔父さんもいまひとつ存在感にかける。練り足りないのか練りすぎておかしくなったのか、なんともいえない脚本である。
と、脚本家を見ると、サスペンスの秀作「アイデンティティ」で私たちをあっといわせてくれたマイケル・クーニーなのだ。あの作品の見事な伏線とどんでん返しは参ったが、今回はその手腕がぜんぜん発揮されていないのはがっかりである。
結局、ラストシーンもなんとなく予想されるものの、観客がこうあってほしいという気持ちを裏切ってのエンディングは後味が悪い。
ある意味、日本的な呪術的な内容であるが、それもいまひとつ不気味さが見られないし、ちょっと消化不良の映画でした