くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「モリエール 恋こそ喜劇」

モリエール 恋こそ喜劇

たわいのない映画である。これといって取り上げるほどの作品ではない。

物語は喜劇の天才モリエールには空白の数ヶ月といわれる消息不明の時期があるらしい。果たしてその時期に何があったのかをフィクション仕立てにして作り上げた作品。
物語の終盤はかなり盛り上がってくるところをみると、おそらく監督もこのクライマックスに力を入れ、それまでの場面はそこまでのつなぎにすべくとったのではないかと思える構成であった。

中盤から終盤にかけて巧妙なせりふと機知に富んだ頭の回転で、巻き起こるトラブルを見事にくぐらせていく下りは非常におもしろいが、そこにたどり着くまでがなんとも長ったらしくてしんどい。
この終盤がいきなりストーリー展開に勢いがでてくる上に、ロマン・デュリス演じるモリエールが俄然生き生きしてくるのはそれまでの物語と雲泥に違う。

そしてこの終盤からエンディングエピローグに至る下りは本当に秀作のにおいもしないわけではない。しかしながら、この場面が歌謡曲でいうサビであるとするなら、そのサビが先に思いついて演出をし、後は一本の映画にするべくそこまでのストーリーを紡いでいったとしか見えないのである。
映像に凝るわけでもなく、物語の構成に凝るわけでもない。このあたりの適当さがこの作品を凡作にした理由ではないかと思います。